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'17桐高校長室

校長室へようこそ。校長からのメッセージをお伝えしていきます。

探究の基盤は失敗を恐れないこと 2017年10月16日(月)

 探究的な学習を行うときにその基盤となることがあります。それは、失敗を恐れないことです。  新しいことや経験のないことを始めるときに、一度や二度うまくいかなくても、それは当然のことで、まずは一歩踏み出すことにあります。  本校で定義をしている探究は、「まだ答えのない『課題』に対して、最適な『答え』を導き出すための活動のこと」です。まだ答えのない課題に挑戦するわけですから、失敗はつきものです。
 人間はそもそも完璧ではありません。また今の社会は複雑なので、どんなに時間をかけて綿密な計画を立てたとしても、一回で、自分を含めみんなが100%満足する結果を得ることは不可能です。
 むしろ、最初の計画に時間をかけるよりは、ある程度失敗を前提に考えて計画を立てて、まずはやってみる。そして、やってみた結果、うまくいかなかったところを検証することで、それを計画、あるいは課題の設定に行かしていく、そのやり方の方が効率的であり、よい探究的な学習ができるはずです。自分で考えた仮説を実行し、その失敗から学びを得られるのは自分です。
 「100円のコーラを1000円で売る方法」の著者の永井孝尚氏の「あなたという商品を高く売る方法」という本では、「失敗から学ぶ3つのステップ」というテーマで書かれているところがあります。そこでは、上手に失敗することの重要が述べられています。氏によると失敗から学ぶ3つのステップがあるといっています。
 <ステップ1>まず、新しいことに挑戦することだ。しかし、新しいことには、失敗がつきものである。だから「新しい挑戦には、必ず失敗の可能性がある」と覚悟しておくことだ。
 <ステップ2>ただ失敗が大きな問題になると困る。そこで大きな問題にならないように、実験規模や期間を見極めて、小さな失敗を繰り返す。つまり、一か八かのギャンブルをさける。
 <ステップ3>そして失敗を認めること。失敗したら失敗した事実を謙虚に受け入れる。犯人捜しをするのではなく、失敗した現象をよく考え、原因を突き止めることだ。原因を追及せず、誰かのせいにして終わりにするだけでは、決して学びは得られない。
 「失敗して悩むのは当たり前だ。わたしも失敗のたびに悩んでばかりだ。しかし悩むことには意味がある。学びが得られるからだ。なぜ失敗したのか原因を考え、どうすればよかったかと反省し、次はこうしようという学びを得る人は失敗からの学びで進化する。だから失敗は決して残念なことではない。」といっています。
 これは探究のサイクル(課題設定⇒情報収集⇒整理・分析⇒まとめ・表現)を時間をかけずにまずは一回まわして、出てきた課題を新たな課題設定、仮説設定につなげていくことで深い学びにつなげていくことと同じ意味かと思います。



仮説検証を繰り返すリーンスタートアップ 2017年10月10日(火)

 「100円のコーラを1000円で売る方法」の著者の永井孝尚氏がNHK出版新書から、「あなたという商品を高く売る方法」という本を出しました。その本で、永井氏はシリコンバレーで活発に行われている「リーンスタートアップ」という方法を紹介しています。
 「リーンスタートアップ」のポイントは「ただ仮説を試す」のではなく、「立てた仮説を、実際に試してみて、最初の仮説を検証する」ことだそうです。まずは、完全な戦略や計画をつくろうとしないことがこの方法の基本になるそうです。
 なぜなら、完璧な戦略や計画をつくろうとすると時間がかかりすぎるからです。むしろ大まかで簡略な仮説をつくったら、すぐに実験をしてみて、その結果に基づいて仮説を見直すことが重要だといっています。そこで得た学びを生かして次のステップに進んでいく。目標は、できるだけ早く「つくるべきもの」を探り当てることだといっています。
 永井氏は、このシリコンバレー流のやり方とは、「仮説を立てる(P)⇒実際にやってみる(D)⇒その結果を検証する(C)⇒仮説を見直す(A)」というサイクル(PDCAサイクル)であり、見直した仮説が、次のステップの仮説になるといっています。このやり方は、IT分野以外でも広く使えるそうです。
 このやり方って、どこかで聞いたことはありませんか。つまり、これは、本校が行っている探究的な学習そのものです。高校時代に、探究的な学習を経験すれば、課題を解決するためのやり方を身に付けることができます。
 将来、このやり方を身に付けていれば、大学で様々な分野で研究するとき、社会に出てそこで与えられたミッションを遂行するために課題を解決するとき、最も効果を発揮するはずです。
 永井氏は、仮説検証するときのPDCAサイクルについて「『円のPDCA』の図を思い浮かべる人が多い。だから、PDCAサイクルを1回だけまわして終わりという人は少なくない。正しいPDCAサイクルは、『円』ではなく『らせん』である。まず大まかな仮説を立てて、すぐに実行する。結果を検証し、学びをもとに対応策を考え、新しい仮説を立てる。こうして『らせん』を1段上がる。そして新しい仮説を実行・検証して、新しい仮説を立てる。そのことで『らせん』を2段上がる。これを繰り返すことにより『らせん』を上がっていくことだ。仮説検証は1回やれば終わりではない。ひたすら愚直にPDCAをまわし続けて、『らせん』を上がり、学びを蓄積していく。短期間での実行と確実な学びの蓄積。これが仮説検証の本質だ」といっています。
 もし生徒の中で、発表会を目指して、仮説をつくり、実際やってみて、その結果を検証して、発表会で発表して、審査の先生から講評してもらい、それで終わりと考えているのであれば、まさに「円のPDCA」をやっただけに終わり、学びを蓄積できません。
 本年度から始めた探究的な学習では、複数回PDCAサイクルをまわすために、発表会を複数回設ける予定ですが、発表会までにPDCAサイクルを1回まわせばよいというのではなく班ごとに必要に応じて複数回まわしてほしいと思います。



東ロボくんから見えたもの 2017年10月09日(月)

 「東ロボくん」を知っていますか。「東ロボくん」とは、人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか。」の略称です。  これは、現在および近未来のAI技術・ロボット技術が導入されることで、2030年の社会がどのように変化するかを科学的に明確化することを目的に、大学入試をベンチマークとして、日本の学術的な知識や先端技術を集積して人工知能の精度を高め、2016年までにセンター試験で高得点をマークし、2021年には東大入試を突破することを目指して、国立情報学研究所が中心となって2011 年よりスタートしたプロジェクトのことです。
 2016年6月のベネッセのセンター試験模試では、英・国・数・理(物理)・地歴の5教科でいずれも平均点を上回り、総合偏差値57.1を獲得しました。ただ成績を総合すると前年度からほぼ横ばいで、東大二次試験の足切りの点数には届かなかったようです。
 今後、さらに点数を伸ばすには、東ロボくんが文脈や複雑な文章の意味を理解することが必要で、このまま開発を進めても、その点を突破できないと判断して、当初予定の2021年度を待たずにこのプロジェクトは、東大受験に関しては一旦凍結しました。今後は東大合格を目標にせず、中高生の読解力を高める研究などを中心に進めていくそうです。
 国立情報学研究所の新井紀子教授は、文部科学省の有識者会議において、
  ・ 近未来のAIにとって、「意味を理解すること」は難しい。特に言葉の意味を理解することはできないだろう。
     ⇒将来、窓口業務や教育はAIが代替することは不可能
  ・ 近未来のAIにとって、「一期一会の問題解決」はできない。
     ⇒介護・保育・災害救助はロボットが代替することは不可能
  ・ 高校生の8割がAIに敗れた理由は、教科書程度の説明の意味を理解できていないから。
     ⇒説明文(マニュアル、ビジネス文書、仕様書等)理解は、ホワイトカラー生産性の向上のためには最重要。
  ・ 中高生が説明文を読めないまま、AIと似た問題解決をしている場合、2030年には、労働力不足と失業の問題が同時に起こる。
 と報告しました。
 新井教授は別の会議において「生徒が学習から意味を見出すことなく、事実を丸呑みし、それを理解することなしに、ただ答えを解いていく姿は、まるで東ロボくんのようだ。AIが記憶力や認識力において人間を超える日は必ずやってくる。人間は記憶力や認識力ではAIに勝つことはできなくなるが、推論する・イメージする・具体例を考える・問題解決するなどの能力には優れている。今回の研究で、人間は文章を読みそれを理解できるが、現時点ではAIにはできないことがわかった。ただ今の中高生は教科書の内容を読み取れていない生徒が結構いることが心配である」と報告しています。
 まずは、教科書をしっかり読解できること。リーディングスキルが欠如していれば予習をすることができない。これがないと一人で勉強をすることができません。更に、入試問題においても解答できません。リーディングスキルを教えていくことも必要かもしれません。そんなものは自然に身に付くという考えもありますが、勉強しても模試の点数が上がらない生徒は実はそのあたりが問題なのかもしれません。
 また、授業でも、時間内に大量に知識を伝え、かつその事実を教え込ませる方が一見すると大学合格のための時間短縮のように思いがちですが、生徒自身がその事実が本当に正しいのかを分析し、批判的思考で捉えられるようになった方が、遠回りに見えますが結果的に、知識・技能の定着や思考の深まりにつながるような気がします。



人工知能に負けないために 2017年10月07日(土)

 日本では、2030年頃には、第4次産業革命を迎え、人工知能(AI)ビックデータ、Iot等の技術革新により、新たなサービスが展開され、職業の在り方や考え方が大きく変わるといわれています。
 AIやロボットなど技術革新により、非効率的な仕事を自動化・効率化するという流れは今後ますます加速するでしょう。ただそのことにより、分野によっては職が奪われることがおこります。
 周囲の環境が変わっていく以上は、その変化に対して自ら変われるものは生き残れるチャンスが生まれますが、変われないものは取り残され、場合によっては存在そのものがなくなってしまうかもしれません。
 私たちにとって大切なことは、変化を拒まずに変化を進んで受け入れ、常に変化に対応できる柔軟性を持つことでしょう。実際、社会は今まで、より便利に、より効率的に変わってきました。したがって、この流れに逆らうことは難しいかもしれません。
 ところで、仕事を大きく分けると、定型業務と非定型業務になります。
 定型業務とはルーチンワークであり、そこでは順応性、協調性、同質性が求められます。一人のリーダーシップをもった指導者の下、みんなが同じ方向に向かうことが重要です。ここでは知識やスキルの量が多い人ほど重宝されます。ただ、このような形態の仕事は、近い将来、AIやロボットに代替されるかもしれません。
 はじめはできなくても、研修をすれば、やがては誰でもできるようなルーチンワークはAIやロボットの仕事になるといわれています。ルーチンワーク的な仕事は、正規雇用者が行う仕事ではなくなるかもしれません。
 ただAIは仕事の手順が決まっていないことはこなせません。また、意志がないので、「これをやりたい」「これはやらねばならない」と考え、新しいことに挑戦したり、新しい価値を見いだしたりすることもできません。
 そのために、非定型業務をAIやロボットに置き換えることが難しいといわれています。例えば、新しい価値を見いだしたり、すぐに効率化できないようなものであったり、協力者や依頼者とのコミュニケーション能力や交渉力などが求められたりする仕事です。
 社会が今、大学や高校に対して求めている資質・能力が学力の3要素です。つまり、「知識・技能」「それを基にした思考力・判断力、表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」です。特に、当分AIやロボットが追いつきそうにない資質・能力である「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をいかに大学や高校で育てていくかが重要になります。
 残念ながら、今の高校教育では「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を身に付けさせるような機会が少ないです。授業の中で、アクティブ・ラーニング゙が盛んに求められるようになった大きな理由がここにあります。
 知識伝達のための一方向的な授業はもちろん必要ですが、主体的で、対話的で深い学びになるような授業への転換となぜそのような学習形態が必要なのかの意味について生徒と共通理解を図りながら学習を進めていくことが今後ますます重要になります。



学校公開あいさつ 2017年09月30日(土)

学校公開  桐高は今年、創立100周年です。また、過日新聞報道がありましたように平成33年度に桐生女子高校と統合し、1学年8クラス規模で、本校の校地に新しい高校が開設されます。現在の中学2年生が新高校の第1回の卒業生となりますが、新高校で行うよいプログラムは来年度からでもどんどん先行して実施する予定です。
   さて、8月に学校説明会をシルクホールで開催しました。そのときに「学校案内」を配布しました。今年は、桐高の取組をより知ってもらうために、昨年より4ページ増やしました。学校の様子がうまく伝わりましたでしょうか。
 今日は、桐高のすべてを皆さんにお見せします。授業や部活動を観たり、理数科1年生によるサイエンスフェスタに参加したりすることで、皆さん一人一人が桐高生になったつもりで、学校生活をイメージしてください。
 今回は、理数科のすばらしさを知ってもらうために、「理数科案内」のリーフレットを作成しました。理数科を卒業した後、どのような進路を歩んでいるのかの例を、わかりやすく先輩の声として示しました。
 桐高理数科というと、10年間のスーパーサイエンスハイスクールの取組があるので、いままでは理数科イコール、スーパーサイエンスハイスクールと思われがちでした。
 もちろんそれは正しいですが、今年度から、理数科では今までよりもさらに深化した取組、つまり「スーパー」が付いた様々な取組を目指しています。
 なお、今年から、理工系へ進んだ女子が、大学でどのように学び、卒業後にどのような進路へ進むのかについて、群馬大学の女子学生や大学院生、あるいは東京大学の女性研究者などをお招きして「リケジョのキャリアパス」についての講座なども積極的に行う予定でいます。
 ところで、現在桐高では、自分の周りに起こる様々な出来事に対して、どうやったら、「自分ごと」として考えられるのだろうか、どうやったら、その解決に向けて、みんなで力を合わせながらやっていけるだろうか、を考えています。そのための学び方として、学校全体で、アクティブ・ラーニングや探究的な学習を行っているところです。
 ちなみに、文部科学省から三期連続で指定された今回のスーパーサイエンスハイスクールの取組の対象は、理数科だけでなく、普通科も含めて行っています。
 地域社会に目を向けて、地域の課題を見つけ出し、様々な人々や組織との対話、現地調査などフィールドワーク、実験実習を通して、その解決に向けて、知識や技能を活用したり、粘り強く挑戦し続けたり、みんなで協力したり、様々な経験をします。そのことで、「主体性」「協働性」「創造力」「科学的なものの見方・考え方」を生徒に身に付けさせることを目指しています。
 そして、このスーパーサイエンスハイスクールで身に付けた力が、まさに皆さんが第1回の受験生となる2020年度から始まる新しい大学入試で求められている力となるわけです。
 最後に、本日は、限られた時間ではありますが、よく観て、体験してください、もし途中で、疑問がわいたら、遠慮せずにすぐに質問してください。
 それでは今日一日よろしくお願いします。



やるべきことを数値化してみる 2017年09月29日(金)

 ジャパン・フラッグシップ・プロジェクトの三木雄信社長の著書「孫社長にたたきこまれた(すごい)『数値化』仕事術」という本は、課題解決型学習を進めていく上でも、参考になると思いました。
 三木社長は、日本のトップ経営者のうちの一人であるソフトバンクの孫正義社長の社長室長を務め、その仕事ぶりを一番近くから見てきた人ですが、その彼からみた孫社長の仕事術の極意の一つは「数値化」にあるといっています。
 ビジネスマンであれば、多かれ少なかれ誰もが数字を意識しながら仕事をしている、経営者や管理職であれば、なおさらである。ビジネスにおいて、組織運営に必要な物事はすべて数字をもとに動いている。ただ実際には、「ビジネスの世界で数字を意識することは常識だ」といわれるが、どれだけの人が数字の本当の威力を理解し、それを仕事に活かせているかは、疑問であるといっています。ちなみに、ソフトバンクは、日常の報連相ですら、数字にもとづいて話さなければ相手にされない文化だそうです。
 数値化するメリットの一つは、「目標達成までに何をすべきか」具体的なアクションが見えてくることです。例えば、本校の生徒は、「ユメタン1〜夢をかなえる英単語」を使ってセンター試験で必要な単語のスペルや用例などを理解し記憶しています。「ユメタン1」は1000語あります。1年後半から2年前半までに2回行うそうです。これを理解し覚えなければとただ漠然と思っても、思っているだけでは先に進みません。
 では、数値化するとどうなるでしょうか。
 本校では1週間ごとに50語を理解し覚えるように指示し、50語のうち15語を毎週テストしているそうです。「1日なら約7単語、1か月では200語」計算上約5か月間で1000語を理解し覚える」目標ができます。こうして数字に置き換えると「見える化」ができますます。すると、「1日で7語なら、電車に乗っているときや休み時間やれば達成できそうだ」などとなり、やるべきこと?が具体化します。
 「次にとるべき具体的な行動」がわかれば、人は目標へ向かってスタートを切りやすくなります。つまり、数値化することで、はじめて人は動き出せるのだと、三木社長はいっています。
 更に数値化するとモチベーションを同時に高める効果もあります。英単語を理解し覚えるときも、表を作って、理解し記憶した数を毎日記録するだけで、「目標まであと1000語だから頑張ろう」と思えるものです。数値化すれば、ゴールまでの達成度や自分が努力した結果が目に見えてわかるので、モチベーションをアップさせることができます。
 三木社長は、仕事やビジネスの問題解決においても、数値化は同様の効果を発揮するといっています。問題を数値化すれば、次にとるべきアクションが具体化し解決に向けて動き出せます。問題を数字に置き換えれば、現状を正しく把握し問題の根本的な要因を明確にできるからです。
 また三木社長は、一見すると何が何やらわからないほどの大混乱に思える状況下でも、数値化すればその正体が明らかになり、必ず解決の道筋を見出すことができるといっています。
 時間があれば「孫社長にたたきこまれた(すごい)『数値化』仕事術」を、ぜひご一読ください。



SSH第1回教育研究大会挨拶の主旨 2017年09月25日(月)

SSH第1回教育研究大会  本日はスーパーサイエンスハイスクール第1回教育研究大会にご参加ただき、大変ありがとうございます。
 本校は、今年度、文部科学省より、3期連続でスーパーサイエンスハイスクールに指定されました。平成19年度に指定されてから11年目になります。
 今回のスーパーサイエンスハイスクールでは、研究開発課題を「これからのよりよい社会を創り出す主体性・協働性を身に付けた科学技術人材の育成」としました。これにより、「主体性」「協働性」「創造的思考力」「科学的な見方・考え方」を身に付けたいと考えています。
 取組のメインである「探究的な学習」については、理数科の生徒だけではなく、普通科の生徒も含めて行っています。スーパーサイエンスハイスクールの取組を普通高校が学校全体で行うのは珍しくありませんが、理数科を持っている学校が学校全体で取り組むということは全国的に見ても珍しいことかと思います。
 本校では、地域社会の様々な人や組織との対話等を通して見出された課題の解決に向けて、探究の過程で、習得した知識・技能を活用したり、粘り強くチャレンジしたり、解決に向けてみんなで力を合わせたりすることを通して、「主体性」「創造性」そして「協働的に活動できる力」が生徒に身に付くであろうと考えています。
 また本校では、「探究的な学習」がうまくできるように、1年、2年において、学校設定科目「探究基礎」を開設しました。
 「探究的な学習」の過程は、課題の設定⇒情報の収集⇒整理・分析⇒まとめ・表現のサイクルであり、これを何度か回すことで効果が上がるといわれています。
 「探究的な学習」を進める上で、特にそれぞれの過程で必要になってくるスキルを本校では「学びの技法」と位置づけ、それを身に付けることを目指しています。
 特に本日行う「課題の設定」は、「学びの技法」の中でも、難しいスキルであり、「探究的な学習」の過程において、たいへん重要なスキルでもあります。
 探究を、アクティブ(自律的・能動的)に進めていくとき、「課題の設定」ができないと次に進めません。
 この「課題の設定」の指導法のうちの一つとして、本校と教育連携協定を結んでいる産業能率大学が研究している「自律的学習者支援プログラム」があります。
 本日は、これを参考として、各担任が「主体的・協働的な生徒を育てることを目指したプログラム」を自分のクラスの生徒に対して行います。
 研究授業終了後の授業研究においては、授業についてはもちろん、本校のスーパーサイエンスハイスクール構想の取組に対してもご意見をいただくことができれば幸いと考えています。
 また、この取組は、「総合的な学習の時間」で行わなければならない、「探究的な学習」の基礎としても十分活用できると考えています。
 それでは、今日一日よろしくお願いします。



アクティブ・ラーニングと知識習得 2017年09月23日(土)

 アクティブな授業と生徒の知識習得の関係について、京都大学の石井英真先生は「活動的で協働的な授業は知識の習得や定着とも関係している。そもそも考える力の育成は知識の習得と切っても切れない密接な関係にある」といっています。
 情報(知識)は、見たり、聞いたり、読んだりすることでインプットされます。次にインプットされた情報(知識)を、アウトプットするためには、頭を活性化させ、自分の言葉になるように再構成します。このときに思考することになります。その過程を認知プロセスといいます。
 京都大学の溝上慎一先生は、認知プロセスとは「知覚・記憶・言語、思考(論理的/ 批判的/ 創造的思考、推論、判断、意思決定、問題解決など)といった心的表象としての情報処理プロセス」といっています。
 そして再構成し、自分の考えになったものを、書いたり、話したり、発表したりすることで、インプットされた情報を、自分の言葉としてアウトプットします。それを外化といいます。
 溝上慎一先生は、「能動的な学習(いわゆるアクティブ・ラーニング)には、書く・話す・発表する等の活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う。」といっています。
 思考しようとしても基盤となる既習した知識がなければできません。思考し表現する活動には必ず何らかの知識の習得や活用が伴うといわれています。
 ところで、知識については、文部科学省でも「新しい知識は、既有知識をつなぐ能動的な思考がないと獲得できない」といっています。つまり、思考することで、与えられた新しい知識と既有の知識を関連付けることができます。知識を再構成して、自分の言葉にするには、事前に必要な知識が備わっていなければならないというわけです。
 一方、自分自身で納得できないために、新しい知識が既有知識と関連付けがなされず、再構成できていない場合には、新しくインプットされた知識は定着するどころかすぐに剥がれ落ちてしまいます。知識は、主体によって解釈・構成されるものなので、詰め込みたくても詰め込めないようです。
 例えば、テスト成績に表れる知識(テスト学力)の習得状況は、教える内容の量と質を前提条件にしながら、授業の過程で、学習者が意識を集中すべき部分に、どれだけ頭を使って、内容の意味をどれだけ構成できているかに規定されるそうです。
 教員の一方的な説明による一斉授業の形態であっても、学習者に学ぶ力があれば、内面において、上記のような有意味な学びが展開されることは不可能ではありません。
 しかし、一方的な一斉授業の形態では、多くの場合には、教員の話を聞いて、外面的には、板書の内容を真剣にノートに写す行動が見られたとしても、内面では別のことを考えていたり、そもそも志向がストップしていたりしテイル場合が多いです。
 たくさんの知識を生徒に伝えるには一方的な一斉授業の形態が効率的かもしれません。ただ、そのために、認知プロセスの外化が起こる機会が設定できなければ、一方的な一斉授業は、「俺は伝えたぞ」という教師の自己満足に終わると思います。



総合的な学習の時間を考える 2017年09月21日(木)

 総合的な学習の時間を、「進路学習」に結びつけて考えてしまう先生は多いです。職業研究、大学研究、小論文指導、ボランティア、進路講演会など、イベントを羅列して行えば、きっと生徒は何かが身に付くであろうと・・・
 総合的な学習の時間の目標のうちの一つに「自己の在り方生き方を考える」というフレーズがあります。そのために、それらしい理由を付けて、大学進学指導と結びつけた内容を行うことが有効と考えてしまったのかもしれません。
 将来の予測不能の社会を生き抜くためには、資質・能力(コンピテンシー)を育成することが必要であり、そのためには、まず育てたい資質・能力を明確にし、育てるために効果的な内容(コンテンツ)を学ばせる(体験させる)。そのことにより、目標としている資質・能力を育てるという考えはなかったと思います。
 ところで現行の学習指導要領の解説によると、「総合的な学習の時間の目標は
  (1) 横断的・総合的な学習や探究的な学習を通すこと
  (2) 自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育成すること
  (3) 学び方やものの考え方を身に付けること
  (4) 問題の解決や探究活動に主体的、創造的、協同的に取り組む態度を育てること
  (5) 自己の在り方生き方を考えることができるようにすること
 という五つの要素から構成されている。
 この五つの要素のうち、(1)は、総合的な学習の時間に特有な学習の在り方を示している。総合的な学習の時間は、横断的・総合的な学習や探究的な学習を通すことが目標であり、これを前提にして、(2)(3)(4)に示された資質や能力及び態度を育成していくことを求めている。総合的な学習の時間では、これらの資質や能力及び態度を育成しつつ、(5)に示された自己の在り方生き方を考えることができるようにすることを目指している。これらは、総合的な学習の時間を通して育成したい生徒の姿でもある。」とあります。
 総合的な学習の時間において、生徒に身に付けさせたい資質や能力及び態度を、まずは明確にして、それを育成するためにはどのようなことをすればよいかと考えていけば、総合的な学習の時間で行う内容はどのようなものにしたらよいか、生徒にどのようなことに留意させて行うべきなのかがわかるのではないでしょうか。
 (2)(3)(4)に示された資質や能力及び態度を身に付けるためのやり方として、横断的・総合的な学習や探究的な学習があり、それを通して行うことで効果が上がるのでしょう。
 総花的でイベント的なものを3年間計画して実施したとしても、 (2)(3)(4)に示された資質や能力及び態度のうち何が生徒に身に付いたかわかりません。
 探究的な学習を、学校全体で実施して感じることは、条件がそろっている本校でも、悪戦苦闘し試行錯誤している状況ですので、総合的な学習の時間に探究的な学習を日本のどこの学校でも実施できるかを考えたとき、相当難しいだろうと思います。




探究を学ぶ過程 2017年09月21日(木)

 本校のスーパーサイエンスハイスクールの取組のメインである「探究的な学習」は、理数科の生徒だけではなく、普通科の生徒も含めてすべての生徒で行っています。
 そのために、どの生徒でも「探究的な学習」が、ある程度うまくいくように、「探究」を行う前に、学校設定科目「探究基礎」を開設しました。
 「探究的な学習」の過程は、「課題の設定」⇒「情報の収集」⇒「整理・分析」⇒「まとめ・表現」になります。
 本校では、「探究的な学習」を進める上で、特にそれぞれの過程で必要になってくるスキルを「学びの技法」と位置づけ、それを「探究」を始める前にある程度身に付けることを目指しています。
 「課題の設定」においては、設定した課題が独自のものなのか、それともすでに先行研究が行われているものなのかを調べておかなければなりません。
 もちろん、設定する課題は最初のもの、独自のものでなければいけません。なぜなら、「探究」とは、まだ答えのない「課題」に対して、最適な「答え」を導き出すための活動のことだからです。ただし、先行研究があってもそれを活用しながら、自分の独自な「探究」を進めていくのであれば問題はありません。
 「整理・分析」「まとめ・表現」についてですが、ここではインターネットの情報を参照することが多いかと思います。インターネットは、手軽で、情報の量が多い反面、その内容については玉石混合のところがあります。
 ですから、レポートの作成やポスター発表を行うとき、インターネットの情報を活用することはよいのですが、そこで得られた情報を、全面的に信頼してよいのか、それだけに頼ってしまって危険はないのか、など慎重になることが大切です。
 インターネットの情報については、しっかりした根拠に基づいている内容、実態に合ったデータであるとは必ずしもいえません。
 ですから、その情報やデータを、文献などの根拠となるデータと突き合わせて、それが「参照するに適した」ものかどうかをよく吟味し検討してから使う必要があります。
 よく吟味することで、その内容についての認識や考察を深めることができます。一方、よく吟味することなしにレポートやポスターに使った場合、もし内容が間違っていれば、その間違った内容を拡散させてしまう危険性があります。
 またインターネットに書いてある内容を手短にまとめて引用するときには、それが誰の主張なのかをはっきりさせなければなりません。自分の主張なのか他人の主張なのか、それをはっきりさせずに引用すると、盗作・盗用になってしまったり、薄っぺらな引用だらけの寄せ集めレポートやポスターになってしまったりします。
 それぞれの過程で、留意しなければいけないことを、しっかり理解して「探究的な学習」を行う必要があります。




アクティブに学ぶ 2017年09月12日(火)

 一般に、知識やスキルを獲得しようとするとき、授業、ガイドブック、マニュアルなどを頼りにします。多くの場合、何かロードマップのようなものがあると目的を達成しやすいです。ただ、そのようなパッシブ(受け身)な学びでは、「真の学び」を身に付けることはできません。「真の学び」とは、初めからそれらに頼らずに、自分でまずはやってみる、試行錯誤を重ねてみる、というアクティブ(能動的)な学びのことです。パッシブな学びでは、実際のところ、何も自分自身で問題を解決していないからです。
 「真の学び」であるためには失敗(うまくいかないこと)を経験する必要があります。サイエンス・ライターのアニー・マーフィー・ポール氏は、これを「生産的な失敗」と呼んでいます。失敗し、それを乗り越える経験をすることで大きな自信を得ることができるといっています。またその過程では深く考える必要が出てくるため、思考力も高まります。
 ですから、うまくいかない状況を時には敢えてつくりだすことも必要です。うまくいかない状況下で特に頑張ってみる経験は重要なことです。解決までの時間はかかるかもしれません。しかし、サポートなしで困難な問題に敢えて挑戦することは能力を高める上では肝要なことです。
 最も身近な例として予習があります。
 予習では、教科書がありますから、まったくゼロからスタートではありませんが、初めて学ぶことを自ら考え試行錯誤して自分なりに解釈し、答えを見出そうとする状況を簡単につくることができます。仮に、予習で正解にたどりつかなくても、授業でのサポートなどにより、結果的に内容をよく理解できたということは多々あります。
 また、模擬試験でやったことのない問題に遭遇したときもチャンスです。
 すぐに「できない」とあきらめるのではなく、何とか考えて答えを出そうと悪戦苦闘してみる姿勢が大切です。たとえ、時間切れで正解に自力ではたどり着かなかったとしても、あとで「解説」で確認することにより、出題された問題を振り返ることで、結果として知識やスキルを獲得することができます。
 「真の学び」とは、自ら考え試行錯誤しながら自分なりの答えを見出そうとチャレンジすることです。たとえ結果として正解にたどり着けなくても、代わりに問題の本質や解決方法について、数多くのアイデアを生みだすことができます。さらに、知識やスキルも獲得できますし、将来同じような問題に遭遇したときにその知識やスキルは役立つはずです。
 まずは失敗することを嫌がらずに挑戦しましょう。ときには、フラストレーションが溜まることもありますが、それだけの価値はあります。どうしても解決策を調べねばならない時もあるので、そのときには誰かに助けを求めることも悪くはありません。ただ少しずつでもよいので、まずは独力で問題と格闘する習慣を身に付けてほしいものです。
 「学びや学び方」を学ぶということは、知識基盤社会である現在、大学や社会においてはもちろんのこと、生涯にわたって必要なことです。受験勉強を含めた高校生活全般において必要なことなので、日々の学校生活の中で意識してほしいものです。



探究的な学習を行う上での留意事項 2017年09月10日(日)

 探究的な学習(課題研究という場合もある)(以下「探究学習」)は、問題の解決のために、[課題の設定][情報の収集][整理と分析][まとめと発表]の4つの過程を、発展的に繰り返し行う学習のことをいいます。
 例えば、いきなり「身の回りにある課題を発見し、それを解決し発表せよ」といわれても生徒は何をやったらよいかわかりません。結局、インターネットからコピペして発表に間に合わせるレベルになってしまうこともあります。すでに分かっていることを自分で考察しないで羅列するのは義務教育段階での「調べ学習」です。
 そもそも探究とは何か。まだ答えのない課題に対して、最適な「答え」を導き出すための活動のことをいいます。
 [課題の設定]のとき、課題がすでに研究され「答え」があるのであれば、課題としてはふさわしくありません。課題は自分のオリジナルなものでなければいけません。したがって、[課題の設定]ときに先行研究されていないかは必ず調べる必要があります。
 ただ、先行研究されたものは、自分の課題の解決のために活用することはできます。ですから、出店を明記した上で、どんどん使うとよいでしょう。
 ところで、探究学習を行う上で重要なことがあります。ひとつは準備段階を持つことです。もうひとつは、探究学習において「飛躍的・創造的プロセス」と「論理的・科学的プロセス」を意識して分けることです。
 まず準備段階ですが、これは探究学習を行うときの基盤となる部分です。具体的には、探究の意義、探究で使う様々なスキル、実施する上での留意事項などのガイダンスを指します。本校では準備段階で行うスキルの学習を「学びの技法」といっています。例えば、聞く力・課題発見力・読解力・情報収集力・情報整理力・データ分析力・執筆力・プレゼンテーション能力・グループ学習力・ディスカッション力などです。これらのスキルを取り出して個別に学習(トレーニング)をします。
 今までは、探究学習のときに必要な能力が可視化されていなかったり、整理されていなかったり、そのためのトレーニングがなされていなかったり、していたと思います。
   まずは必要な知識や技能(スキル)を先に生徒に与えて、それをもって主体的・協働的に探究学習を進めさせる必要があります。
 もう一つは、探究学習の過程で必要となる能力が異なることへの意識です。前述した探究学習の過程は、大きく[課題の設定の過程]と[その課題を検証する過程]に分かれます。
 [課題の設定の過程]は飛躍的・創造的プロセスともいわれます。ここで大切なのは、思い付きであったり気付きであったりします。「ゼロからイチ」をつくり出すためには創造的な思考力、そして批判的な思考力も求められます。
   [その課題を検証する過程]は論理的・科学的プロセスともいいます。そのプロセスでは論理的な思考力が発揮されます。場合によっては、実験、観察、統計処理など科学的な能力も必要になります。



探究的な学習を進めるにあたって 2017年09月06日(水)

 今年度から、スーパーサイエンスハイスクールの中心的な取組である探究的な学習を、理数科のみならず普通科の生徒に対しても行っています。
 全校生徒が取り組むので、ほとんどすべての教員が関わることになります。そのために年度当初に計画を立てました。例えば、実施するための組織をどう作っていくか、教員に対してどう研修を行うか、核になる教員をどうつくるのか、またそこからその他の教員へどう広げていくか、などです。また、探究的な学習を始めるに当たって、本校としての「探究」の定義を決めることと、それを全体で共有していくことも必要になりました。
 生徒の探究的な学習を進めることは、教員にとっても探究的な活動、問題解決型学習(PBL)といえるかもしれません。
 現行の学習指導要領では、すでに「総合的な学習の時間」において探究的な学習を行うことになっていますが、現実にはほとんどの学校ではやっていません。よくて「調べ学習」というところでしょうか。
 文部科学省では、新学習指導要領において、深い学びの視点から探究的な学習をさらに進めていくために、「総合的な探究的な時間」へと名称の変更も考えているようです。しかし名称を変えただけではかなり無理かと思われます。
 まずは、「なぜ今探究的な学習が必要なのか」の共通理解が必要でしょう。難しいところではありますが、共通理解がないと教員は受け身になってしまい、せっかくの探究的な学習が形だけの形骸化したものになってしまうような気がします。
 また、実施するにあたって、教員自身が教科・科目の学習と違って指導経験がありませんので、イメージができずに手探り状態になるかと思います。ただ大学時代に研究室に配属され研究したり、ゼミ活動をしたりしているので、まったく基盤がないということはありません。
   まずは生徒ともに学んでいく姿勢を持つとともに、探究的な学習にかかる研修を行うことで、知識・技能を学ぶ必要があります。
 教員は、経験していくと、意外とよいアイディアを出すことが多いです。それを少しずつ他の教員と共有しながら広げていくとよいと思います。そのためには管理職、教員相互で意見交換する時間が必要です。
 探究的な学習を当初計画したとおり、実際やってみると、細かいところまで詰めていなかったことが発覚して進まないことがあります。ですから、課題が出てきたところで、すぐに、検討して、解決を試みるような柔軟さが求められます。当初はざっくりとした計画しかできませんので、計画のとおりにやろうとしてもそう簡単にはできません。まさに重要なのはPDCAサイクルをしっかり回していくことかと思います。その作業を着実に繰り返していると知らないうちに他の学校と大きな差が出てくるはずです。
 部活動でもそうですが、やはり優勝するようなチームはそれ以外のチームに比べて見出された課題も多いかもしれませんが、解決された課題はそれ以上かと思います。



思考力をはぐくむ 2017年09月03日(日)

 思考力を育てていくにはどうしたらよいのでしょうか。
 それは、「インプットされた知識を、自分の考えになるように再構成して、うまくアウトプットする」このプロセスを行う機会をつくることでしょう。
 京都大学の溝上先生は再構成する過程を認知プロセスといっています。認知プロセスとは、「「知覚・記憶・言語、思考といった心的表象としての情報処理プロセス」のことです。
 ちなみに、ここでの思考は、論理的思考・ 批判的思考・創造的思考、推論、判断、意思決定、問題解決などを指しています。
 また、アウトプットのことを外化といっています。溝上先生は「外化とは文章や会話,発表などを通じて,自分の頭の中にある思考を外に出すこと」と定義しています。
 なお、文部科学省では、外化を「習得した知識を実際に適用して問題の解決を試みること」と定義をしています。そして知識を習得することを内化、あるいはインプットといっています。インプットとは、授業で先生の話を聞いたり、教科書や参考書を読んだり、あるいは図書館で本を読んだりして知識を得ることです。
 溝上先生は、「能動的な学習には、書く・話す・発表する等の活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う。」といっています。ここでいう能動的な学習とは、アクティブ・ラーニングのことです。
 アクティブ・ラーニングとは、授業の中に、認知プロセスを外化させる機会をつくることであり、決してグループ学習を行うことではありません。
 それぞれの教員が、自分の授業の中で、内化した知識を再構成(認知プロセス)して外化するプロセスを生徒に経験させるような機会をつくることを意識することで、一方向の講義のみの授業からアクティブ・ラーニング型の授業への転換が進み、その結果、思考力をはぐくむことができると思います。そこが授業改善のポイントになるでしょう。
 ところで、アウトプットをすることを事前通告しておくと、インプットの仕方が変わります。例えば、講演会を聴くとき、誰が集中して一番熱心に聴くでしょうか。それは謝辞をする人です。事前通告された途端、その人はアウトプットをしなければなりませんから、自分事になり、そこを意識して講演を聴くことになります。主体的に聴く必要が出てくるわけです。
 「インプット⇒再構成⇒アウトプット」のプロセスの機会を増やすことができれば、「学習内容の理解を定着させる」「これまで習得した知識(=既有知識)や考えと繋げる(=深い学び)」「その過程で疑問をもったり新たな事象に気づいたりする」といったこともできるようになるでしょう。



桐生について学ぶ 2017年09月01日(金)

 1,2年生はこれから桐生について学びます。なぜ地域を学ぶことが必要なのでしょうか。
 社会は今後予想以上のスピードでどんどん変化します。変化の激しい時代において、学校の閉じられた空間だけにいることは、社会の流れに取り残される可能性があります。
 また、社会全体が大学や高校に対して社会に適応できるスキルを生徒・学生に身に付けることを求めています。大学でも、社会で生き抜くためのスキルを身に付けるためのカリキュラムを学びますが、その基盤を高校時代につくっておく必要があります。
 社会に関心を持つことは、自分の進路を考える上で役に立ちます。社会に無関心で将来の進路を決めようとすると、社会にはどんな仕事がありどんな課題があるかわかりませんから、身近な狭い範囲の中で進路を選ぶことになります。例えば、教師、看護師、理学療法士、医師、薬剤師など・・・これらを希望する生徒は、安易な選択ではないか、もう一度自問自答する必要があります。もちろん近いところに動機があれば意欲につながります。
 地域を知り、地域課題を発見し、それを自分事としてとらえて、解決に向けて試行錯誤していくことは、将来を考える上で貴重な経験になるという理由から、本校では桐生について学ぶ機会を設定しました。
 校訓に「文武両道」があります。これを追求していくと、自宅と学校の往復になってしまい社会と隔離された閉じられた空間での生活になってしまいます。ですから、負荷はかかりますが、勉強と部活動に加えて、社会に関心を持つという三兎を追う必要があります。
 桐生の伝統産業である絹織物業は、明治・大正・昭和初期にかけて日本の基幹産業として発展し、日本の外貨獲得に大いに貢献しました。戦後は、日本人の和装離れから下火となりましたが、代わって自動車部品産業等が台頭してきました。その後次々に有望な企業が生まれ、今日の桐生を支えています。
 桐生の現状を知りその課題を発見することで、桐生再生のためにはどうしたらよいかを考えたり、桐生を探究することを基盤にそこから離れてさらに広く深く考えていったりしてほしいものです。
 現在、桐生の市政方針は「元気で活力のあるまちづくり」「環境先進都市の実現」です。
 それに基づき、低炭素社会の実現による脱温暖化を目指したり、あるいは低速電動バスMAYUを活かしての産業観光や地域活動を積極的に行ったりしています。
 産業観光は桐生の一つのキーワードです。観光といえば、通常海・山・河等の既存の自然を楽しむことが中心ですが、桐生の場合、過去の人の営みを知り触れることができる観光を目指していることが特徴です。それは、明治・大正・昭和初期にかけて絹織物業により栄えた地域だからです。ですから桐生では、そのころの歴史的・文化的に価値ある工場や機械などの産業文化財や産業製品などがたくさん見られます。それらを通じて、ものづくりの心に触れることを目的とした観光であることが他の地域との違いになります。
 さらに桐生は自然が豊かで歴史や文化もあります。また群馬大学をはじめそれぞれの企業が独自な発想でものづくりや最先端技術の研究を行っています。
 勉強と部活動のほかに、桐生の地域課題を発見しそれを自分事としてとらえ解決に向けて試行錯誤していくことを加えることは、将来を考える上で、大変ですがやる価値はあると思います。



2学期始業式 2017年08月28日(月)

 さて、今日は2学期の始業式にあたって、1つだけ話をします。
 よく「コミュニケーション能力」が必要だ、といわれます。社会に出てからはもちろん、日常の学校生活においても「コミュニケーション能力」が高いほどよいわけです。
 ところで、この「コミュニケーション能力」が高い人とは、多くの場合に、「うまく話ができる人」「人を引き付ける話術がある人」と思いがちです。
 しかし、「コミュニケーション能力」とは、もちろん「うまく話ができる」「人を引き付ける話術がある」ことも指しますが、実はしゃべり手の能力ではなく、聞き手の能力を指すほうが、一般的なようです。
 つまり「聞く力」や「傾聴力」のある聞き手のことを「コミュニケーション能力」の高い人というわけです。
 人には、『自分のことをわかってほしい』と思う「承認欲求」があります。この承認欲求を満たすと、今度は「返報性の原理」という反応が生まれます。つまり、『人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く』、この心理状態をいいます。
 傾聴力を高めることができれば、話し手である相手は『この人、私のことわかってくれているな』と思います。そして、ここから「信頼」が生まれてくるのです。
 ところで、「傾聴力のある人」「聞き上手な人」とはどのような人なのでしょうか。
 多くの人は「自分はだいたい聞く方なので傾聴力はある」「自分は話すよりも聞く方が好きなので傾聴力はある」と思いがちです。あるいは、「自分は発信力が低い」ので、その分傾聴力が高い、と勘違いをしていることもあります。
 傾聴力には、「積極的傾聴」と「受動的傾聴」があるそうです。ただ聞いているだけという「受動的傾聴」では、とても傾聴力が高いとはいえません。
 傾聴力の向上において、基本中の基本は、「話している相手をきちんと見る」ということです。
 「目は口ほどに物を言う」ということわざもあるくらいです。また、「メラビアンの法則」という法則があります。これによると、人の印象は、まず服装、表情、スタイルといった「視覚情報」が55%で、次に口調や声のトーンといった「聴覚情報」が38%、話の内容である言語情報が7%であるといわれています。ですから、聞き手の印象や評価は「視覚情報」しかありませんから、ほぼ100%が聞く姿勢でしょう。
 例えば、つい「ぼーっ」と聞いていたり、他のことを考えていたりすると、相手から視線が外れがちになります。下を見ながら、話を聞いているなんてことは話し手にとって不快極まりないことになります。
 きちんと話している相手の目を見ることで、自分の真剣さを伝えることができます。
 自分自身の経験を振り返ってみれば、わかると思いますが、真剣に聞いてくれていると、話し手は「話をどんどん進めたい」「もっと深く話したい」という気持ちになるはずです。
 2学期は創立100周年の記念式典、同窓生の画家である山口晃氏の創立記念講演、あるいは東京大学の石井先生の文化講演があります。
 客席にいるとわからないでしょうけれど、演台から見ると皆さん一人一人の聞く姿勢が一目瞭然です。聞いている人は沢山いるから、俺一人下を向いてもわからないと思うかもしれませんがそんなことはありません。よく見えるのです。さすが桐高生といわれるような聞き方をぜひお願いします。
 また授業において、傾聴力を意識すれば、先生の講義やグループ学習でも効果を発揮するでしょう。授業の中で、先生から良い話を聞きだすコツは皆さんの傾聴力にかかっているのです。
 2学期は一年で一番長い学期です。是非学校生活を充実させてください。



多様化の推進 2017年08月19日(土)

 「ダイバーシティ」という言葉を知っていますか。
 「ダイバーシティ」とは訳すと「多様性」といいます。「たくさんのありさま」という意味です。例えば、生物学では、生物の多様性とか、植物多様性とかといわれています。つまり、様々な「種」の生き物が共存していること。また、社会学では、いろんな人(性別、人種、国籍、LGBTなど。さらには、ビジネスの世界では、多様な人材を積極的に活用していこうという考え方のこと。性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするマネジメントのことです。
 ところで、早稲田大学入山章栄准教授によると、日本企業を取り巻く経営環境については、経済のグローバル化や少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に加えて、AIやあらゆるものがインターネットにつながる「Iot」の発展などにより、激変しているといっています。
 そのような状況下で各社が様々な形のイノベーション(技術革新)や新規産業に取り組んでいるとのことです。社内で精鋭を集めて「イノベーション推進室」などを作っても、思った通りの成果が出てこないのが現状のようです。
 イノベーションの父と呼ばれたジョセフ・シュンペーターによると、イノベーションにつながるアイデアは「既存の知と別の既存の知の新しい組み合わせ」によって生まれるとのことです。この考え方は、経営学における基本原理の一つだそうです。
 人間はゼロからは何も生み出せないから、常に「まだつながっていない何かと何か」を組み合わせる必要があるそうです。
 ただ人は認知に限界があるので、やがて「目の前の知と知の組み合わせ」は尽きてしまいます。そして、それを克服するには「自分から離れた遠くの知を幅広く探し、自分の知と新しく組み合わせる」ことが何よりも重要であるそうです。
 知は人が持つものであり、「新卒一括採用で、同じような人が終身雇用で会社に位置付ける。」といった従来の日本企業では、発想が似通った同質の人間が集まりやすく、異なった知と知の組合せは起こりにくい。これまでの日本企業の仕組みは欧米へのキャッチアップを目指した20世紀には通用したが、イノベーションが求められる現代では実は最も不向きな仕組みとのことです。ですから、これから日本企業が生き残りをかけてイノベーションを起こしていくためには、従来と正反対のことをしなければならないとのことです。
 例えば、これまで男性中心だった企業に、女性や外国人が入れば、新たな視点・経験・価値観がもたらされ、「新しい知と知の組合せ」が起こる。ダイバーシティは経営学的にみて、長い目でイノベーション創出につながるからこそ重要であり、この視点が浸透すれば、さらに流れは加速するだろうといっています。
 桐高は、平成33年の桐女との統合に向けて、現在様々な検討を行っています。男子・女子の発達段階に応じた特性もあり、男女別学の良さ、ある面での効率の良さはあります。
しかし、イノベーションの創出は多様性の中で起こりやすいという事実からすると、別学の良さを考慮しつつも、いかに多様性をはぐくんでいくかが新高校をつくるにあたって重要なことかと思います。



新高校開設について 2017年08月18日(金)

 桐高と桐女を統合してできる新しい高校は平成33年4月に開校します。ちょうど今の小学校6年が新高校の1年になります。
 現在その開設に向けて、2つの高校が、合同で新高校開設のための準備会をつくり、まずは骨格づくりを進めているところです。この準備会は、昨年8月より、約2か月に1回の割合で、今年の6月まで、計6回開催しました。その途中で有識者を招いての意見聴取会を2回開催しました。
 準備会では、新高校のイメージを可視化するために「男女共学のトップ進学校、桐生駅前に誕生!」というキャッチフレーズをつくりました。新高校のキーワードは「共学」「進学校」「駅近」です。
 桐高と桐女はともに創設時は桐生の町の人たちの支援によってできた町立学校であり、校歌はどちらも「故郷」「春の小川」などを作曲した岡野貞一であり、校章もよく似ています。本当に共通点が多い学校だなと思います。
 ところで、平成32(2020)年度、つまり新高校開設の一年前には、「大学教育改革」「大学入試改革」「高校教教育改革」を一体的に改革する「高大接続改革」のうち、「大学入試改革」が本格的に始まり、大学入試制度が大きく変わります。
 例えば、「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」になり、思考力を重視した問題が中心に出題されるといわれています。従来のマークでの解答のほかに、国語や数学では記述での解答が一部導入されます。また、英語については、「大学入学共通テスト」のほかに、英検などの外部試験の結果を各大学が利用できるようになります。
 また、「高校教育改革」の一つである新しい学習指導要領においても、思考力を育成するための探究的な学習、そしてグローバル化に対応するための英語教育をより強化する方向が、過日文部科学省から示されました。
 現在、本校で行っている3期目のスーパーサイエンスハイスクールの取組の柱である思考力を育成するための探究的な学習と桐女英語科が培ってきた英語教育は、文部科学省が目指している教育改革が目指す方向とぴったり一致しています。
 新高校では、探究的な学習と英語教育を、学校全体の中心的な取組にして、2020年度以降に実施される大学入試改革にも十分に対応できるような地域の中核を担う高校にすることで、難関国立大学をはじめ地元群馬大学へ多数入学できるような男女共学校になることを目指しています。
 さらに、新高校が目指す資質・能力は、予測不能な将来の社会においても生き抜くことができる能力、具体的には、「獲得した知識をうまく使える能力」「自由な発想の下、新しいことにもチャレンジしていく能力」「答えのない課題に対して粘り強く取り組み最適な答えを導き出す能力」あるいは、「多様な人たちとも協働できるような能力」などですが、それら一つ一つを明確にして、学校の教育活動全体を行う中で、グローバル社会で活躍できる人材を着実に育てていくことを目指す予定です。
 なお、新高校への移行の仕方は、一括方式をとるので、平成31年度に桐高と桐女に入学する生徒が新高校の3年になります。つまり来年度受検する現在の中学2年が該当するわけで、新高校開設に向けての準備は今後さらにピッチをあげて進められると思われます。



学校説明会挨拶 2017年08月17日(木)

学校説明会  本日はお忙しい中、本校の学校説明会にお越しいただきまして、ありがとうございます。
   さて、少し先の話ですが、皆さんは2020年度がどのような年度か知っていますか。この年度には、東京オリンピック、パラリンピックがありますね。
 ただもう一つ重要な年度でもあります。それは、大学入試制度が大きく変わる年度です。そして、その大学入試が大きく変わるときの初めての受験生が皆さんになります。
 「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」になり思考力が重視されます。国語や数学では記述で答えるような問題が一部出題されたり、英語では英検などの外部試験の結果が利用されたりします。
 そして、大学入試の区分も、「一般入試」は「一般選抜」へ、「AO入試」は「総合型選抜」へ、「推薦入試」は「学校推薦型選抜」へと変わります。
 これは<社会に出たときに活躍できる能力>を持った人を育てるため、「大学教育」「大学入試」「高校教育」を一体的に改革しようとする「高大接続改革」の具体的な取組になります。そしてこの改革は、明治以来、最も大きな制度改革といわれています。
 <社会に出たときに役立つ能力>を「学力の3要素」といっています。
 その要素のひとつは、「知識・技能」です。そして2つ目は、「知識・技能」を基盤にして、答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていくための「思考力・判断力・表現力」です。3つ目は、主体性を持って多様な人々と協働して「学ぶ態度」です。
 本校では、この「学力の3要素」を育てるために、現在様々な取組を行っています。具体的には、授業の一部にアクティブ・ラーニングを取り入れたり、探究的な学習を行ったりしています。
 また、本校では、平成19年に文部科学省より、「科学技術系の人材育成」や「科学的な思考を持った人材の育成」などを目的としたスーパーサイエンスハイスクールに5年間指定されました。さらに平成24年からも2期連続で5年間の指定を受けました。そして、3期目である今回は大幅に研究開発内容を変えて申請し、みたび、平成33年までの5年間の指定を受けることができました。
 今回は対象を理数科だけでなく普通科の生徒も含めました。また「科学的な思考」、つまり、論理的思考・批判的思考・創造的思考を持った人材を育成するためのプログラムを開発し、文部科学省に提案し指定を受けました。
 ところで本校の「学校案内」についてですが、本年度はさらに詳しくしました。これは、皆さんに本校のよいところを少しでも理解してもらうためです。
 「学校案内」を読めば本校の様子がすべてわかりますが、本日は、さらに詳しく知っておいてほしい内容を、これから、各担当から説明してもらいます。
 最後に、本校は、平成33年の桐生女子高校との統合を見据えて、来年度の入学生から普通科が5クラスから4クラスになり、2クラスの理数科と合わせて1学年6クラス規模になる予定です。定員が減って入りにくくなりますが、是非本校にチャレンジしてほしいと思います。
 本日は、限られた時間ではありますが、本校の様々な取組について、よく聞いていただき、もし何か不明なところがありましたら、遠慮せずにぜひご質問してください。
 それでは本日はよろしくお願いします。



学力アップの鍵 2017年08月12日(土)

 8月11日付の読売新聞に「編集委員が迫る」という特集記事がありました。
 この「編集委員が迫る」は、編集委員の服部真氏が、世界の教育大臣と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)の教育・スキル局長のアンドレアス・シュライヒャー氏に対してインタビューした内容がまとめられていました。

 まず、日本の教育課題について
 ⇒教科を超えて考えたり、自由回答の問題に答えたりできるようになった。
 かつて日本の生徒たちは記憶中心の勉強をしていた。英国は今でも記憶中心だが、日本はすっかり脱却し、自分で優先順位や目標を決め、計画的に学ぶようになった。  だが、様々な知識や情報と自分で関連づけて学ぶ生徒は少なく、日本は世界で下位グループだ。例えば、数学を勉強するときに、理科や社会の知識と結びつけて理解したり、日常生活での使い方を考えたりすることだ。数学では、簡単な問題ならば記憶中心でよく、やや難しい問題までなら計画的学習で対応できるが、最高難度の問題だと他の知識と関連付けることが欠かせない。現代社会の問題は複雑な情報や知識構造の中にあり、知っていることから推測することは重要だ。
 日本の学力をどう伸ばしたらよいのか。
 ⇒過去15年間、日本の学力の向上は総合学習の成果だと考えると説明がつく。シンガポールや上海では、総合学習のような探究的な学習を日本以上に優先的してやっている。この結果、生徒が主体性や独創性を発揮し、失敗から学ぶ時間的な余裕もできた。記憶する必要性は、これからどんどん低くなる。記憶するのはAIが得意だからだ。公式や地名・人名を一生懸命覚えるより、数学者や歴史家のように考える力の育成に絞るほうがよい。日本の新しい学習指導要領では、関連づける学びが重視され、総合学習は重要な手段となる。だが実施するのは大変だろう。準備にも授業にも今まで以上に時間が必要だからだ。


 AI・ロボットなどの技術革新が進み、またグローバル化が急速に広がるなど、10年、20年後は、さらに予測不能な社会になっているといわれています。
 そのような時代を生き抜くことができる力をはぐくむために、新しい学習指導要領では探究的な学びや英語教育などを拡充しました。
 現在中央教育審議会では、それを学校現場で着実に実施するためにはどうしたらよいかを議論しているようです。そこで最大の焦点となっているのが、新しい学習指導要領を実施するときに、教員の負担をどう軽減していくのかとのことです。実際、探究的な学びを着実に行おうとすると手間と時間がかかります。そのこともあり現在行われている「総合的な学習の時間」について多くの学校では形骸化してしまいました。
しかし、本来は負担が増加するからといって、予測不能な社会で生き抜くための力をはぐくむために必要な「学び」を削ってしまっては本末転倒になってしまいます。
ただこの「学び」が重要であるということを、おそらく多くの教員自身、そして当事者である生徒たちもよく理解できていないような気がします。そのことも新しい学習指導要領を実施するときの大きな課題であるような気がします。そして、今度こそ学校において、探究的な学びがないがしろにされることがなければよいなと思っています。



大学の体育会系はなぜ就職に強いのか 2017年08月02日(水)

 「体育会系は就職に強い」。就職活動ではよくいわれますが、はたして事実なのか。「PRESIDENT 」5月1日号では、日本で特に人気の高い15の企業を対象に体育会系の就職について、アンケートとインタビューを行い、約30項目について調査したそうです。
 その結果、人事担当も意識していなかった意外な事実が浮かび上がったようです。
 インタビューに応じたある企業の採用担当課長は「面接では学生に部活動に所属していたか否かを問うことはしない。ただ『学生時代にどのような経験をしてきたか』を尋ね、それに対する答えから、学生が何を考え、どのような努力をして結果を出したのかを把握する」とのことでした。
 また、人事担当への面接に関してのアンケート調査では、体育会系出身者は「礼儀正しく、ハキハキとしている」「勝つことに強いこだわりを持ち、幾多の失敗・挫折経験を乗り越えて結果を出した」などの回答が見られたようです。
 企業は今、体育会出身の学生にどのようなことを期待しているのでしょうか。
 ある採用担当者は、「会社員として求められる資質は2つ。ひとつは組織に適応する能力、もうひとつは目標を設定して達成する能力」だそうです。
 SNSが発達して、人と直接コミュニケーションを取る機会が減ってきたので、この2つの能力が欠けている若者が近年増えてきたそうです。現在このような状況下にあるので、この2つの力を求める声が高まってきたようです。そして、部活動を続けるなかで自然とこの2つの能力を身に付けることができるという信頼感により、体育会出身者に人気が集まっているようです。
 ちなみに企業は、体育会出身者を求めているのではなく、「組織に適応する能力、目標を設定して達成する能力」を求めているのです。ただ、真剣に部活動をやっていると、これら2つの能力が身に付きやすいということかもしれません。高校の部活動でも、誠心誠意行えば、「組織に適応する能力、目標を設定して達成する能力」を同じように育てることはできるはずです。これらの能力は、社会で生き抜くためにたいへん必要な能力です。
 ところで、別の採用担当は、最近の新入社員を見ていると、自分が失敗をしたときに、素直に物事を受け止めることができない人が目立つといっています。
 部活動を経験してきたといっても団体と個人は違います。団体競技を経験してきた社員は、勝敗の分け目において、自分のミスがチーム全体にどのような影響を与えるか、身をもって体験してきているので、業務上のミスも“自分事”として責任を感じられる人が多いといわれています。一方で、団体競技の経験のない社員は、自分のミスも他人事として捉えてしまう傾向にあるそうです。それは自分で反省し、成長するという経験をしてないからかもしれないそうです。
 最後に、体育会野球部だったある採用担当者の「すぐに成果が出ないことでも、続けていれば大きな成果につながるということ、一人では勝てなくても、チームでは勝てる可能性が高まることは、野球部の活動で学び、仕事のなかでも実感していることです。また、日々の基礎練習の積み重ねが、土壇場でのプレーに出るように、当たり前のことを当たり前にきちんと行うことを徹底し、継続し続け、自分の当たり前レベルを上げていくということは、今でも一番大切にしています」というコメントがありました。
 大学に限らず、高校の部活動においても同じようなことがいえます。「試合に勝った・負けた」「試合に出た・出なかった」とは関係なく真剣に取り組むことができれば、生き抜く力が育ってきた実感を得ることができるのだと思います。




学びを社会に注ぐ 2017年07月29日(土)

 なぜ教育を行うかの理由は、いろいろありますが、社会に出たときに、企業、組織など自分を取り巻く環境下で、多様な人々と一緒にスムーズに仕事を行っていくために必要な能力を身に付けるためといわれています。
 最近は、社会からの要請だけではなく、社会の変化のスピードが想像以上に速いので、今の子供たちが、10年、20年後の社会のなかでどうなっているのであろうか、また、そのときに、社会で必要な能力を十分に身に付けていなければ、日本は世界の中で埋没してしまうのではないか、そのような危機感を文部科学省は持っています。
 社会に出て、生き抜くために必要な資質・能力を「学力の三要素」といいます。
 この「学力の三要素」は、約10年前に学校教育法で定義づけられていましたので、決して新しい言葉ではありません。しかしながら、そんなに前から法律で位置づけられていたのにもかかわらず、生徒にも教員にもほとんど浸透してこなかったのは不思議なことです。
 特に高校教員は、「学力の三要素」という言葉すら聞いたことがない、知らないという教員が相当数いることも不思議です。
 高大接続システム改革会議が平成28年3月31日付で公表した「最終報告」においては以下のように書かれています。
 『身に付けるべき力として特に重視すべきは、(1)十分な「知識・技能」、(2)それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく「思考力・判断力・表現力」等の能力、(3)これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、である。これからの教育は、この(1)〜(3)(これらを本「最終報告」において「学力の三要素」と呼ぶ)の全てを一人一人の学習者が身に付け、予見の困難な時代に、多様な人々と学び、働きながら、主体的に人生を切り開いていく力を育てるものに ならなければならない。』とあります。
 今まで高校は、「学習内容」のみ、知識重視でした。「学力の三要素」においては、まずは十分な知識の習得が大切であるといっています。ですから今後も知識は重要です。ただ、知識が多いだけで、大学や社会で通用するのかというと、それは疑問です。
 ところで、教員が手を加えなくても「学力の三要素」を自然に身に付けられる生徒は昔からいました。そのような生徒は、社会において、すでに成功しているはずです。ただ生徒のうちの多くは「学力の三要素」のどれかが欠けている場合が多いです。
 河合塾理事長の河合弘登氏が過日の朝日新聞で「教育は社会に出たときに、きちんと自立できている人間をつくるためにある。やがて大人と同じように社会に貢献できる、つまり一人前になることが教育の目的であり、いい学校の入ることがゴールではない。受験勉強では成績や合格を目的化してしまいがちだが、いつもその先の将来を見据えて学びを行う必要がある。」「社会に出たら自立し貢献する!5年後、10年後はもっと強くなる。そんな人生を生きてほしい。」という主旨の話をしていました。河合塾といえば予備校や模試で有名ですが、その理事長が「一生を学ぶ力で生き抜く」ことが大事と断言していました。



1学期終業式 2017年07月21日(金)

1学期終業式 昨日は、SSH課題研究発表会があり、群馬大学の先生から、いろいろな点でお褒めの言葉をいただきました。特に、自ら立てた課題に対して、積極的に、粘り強く、最適解を求めて協働しながら取り組んだことが伝わるような発表がほとんどだったような気がします。
 さて最近、探究という言葉を耳にするかと思いますが、これは課題研究と同じことです。
 探究を定義づけるならば、「探究とは、まだ答えのない「問い」あるいは「問題」に対して、最適な「答え」を導き出すための一連の活動のこと」となります。
 変化が激しく、リスクの多い時代では次々と難題にぶつかります。そのような社会を生き抜くときに、「まだ誰も答えを知らない問題」に、速やかにその事態から学んで対処していくことが求められます。
 1年と2年は、SSHの取組として、この探究を行う時に、基礎となる考え方、手法について、1学期に学んできましたと思います。また2年は、2学期には探究という活動を体験することになります。
 ところで、いま「答えがまだわからない問い」に一番真剣に挑戦しているのが3年だと思います。おそらく3年は全員「現役で第一志望の大学に合格するにはどうしたらよいか」という問いがあるはずです。誰もが、現役合格のために必要なやり方を模索しているところでしょう。しかし、誰もがその問いの正解はわかりません。この「現役で合格するために必要なやり方」がまさに「答えのない問い」となります。
 大学入試の問題自体は「答えのある問題」です。ですから、時間内に、できるだけ多くの「答えのある問題」に対して、効率的に、記憶した正しい答えを、再生することにつきます。
 また「答えのある問題」の場合には、わからなければ知っている人に聞けばよいですし、ネットで調べれば解決します。
 受験のためには、正答である知識、つまり事実的知識をできるだけ多く理解し、記憶しておいて、与えられた問題に対して、その正しい答えを導き出すという作業になります。ただそうやって身に付けた知識は無駄にはなりません。
 ただ受験において、「合格するための勉強の仕方や合格までの手順」については、最適な答えはあるかもしれないが正解はないでしょう。大学に合格するためには、その問いに対して、最適解を出さなければならないと思います。
 大学受験は、自分にとって、新しい未知の領域であるだけにそれを効率的に行う必要がでてきますが、それこそ、実社会で求められる能力ではないかと思います。
 現実の社会では、答えが無いとか、複数あることのほうが多く、それは正解というよりはみんなが納得できるような解、あるいは複数あるうちの最適な解であったりします。
 実社会で直面する問題のほとんどは、「第一志望の大学に合格するためには」というような「誰も答えを知らない問題」です。
 その都度起こった状況を、自ら考え、時には他の人たちと協力しながら、解決していくしかありません。先行知識を直接利用できないような問題もたくさんあり、それに対して答えを出していかなければなりません。
 受験勉強においては、自分で試行錯誤しながら解決していかなければならないことがたくさんあります。新しいことに挑戦する気持ち、失敗を恐れない気持ち、成功するまで粘り強く続ける気持ち、直面している課題に対して積極的に向き合える気持ちなど、ぜひ身に付けてほしいと思います。夏休みは長いようで短いです、毎日をそのことを意識しながら過ごしてください。



思考力を身に付ける 2017年07月11日(火)

 「思考力、判断力、表現力」というフレーズは、最近よく耳にするかと思います。「学力の3要素」のうちのひとつであり、新しい時代に必要になる「資質・能力の三つの柱」のうちのひとつでもあります。
 ただこの「思考力、判断力、表現力」のフレーズの歴史は意外と古く、新しい学力観にたった教育が提唱された1992年頃からすでにいわれていました。
 2007年に改正された学校教育法に学力の基本要素として規定されたこともあり、各学校においても意識されるようになりました。今ではどの学校でも用語としてはすっかり定着しています。
 ただ学校現場においては、「思考力、判断力、表現力」を育てるより「知識」を習得させる方が大学入学者選抜(以下「大学受験」)には重要だという考えが強く、特に進学校を中心に大学受験に対応するためという理由で、「知識」偏重になっているのは事実です。また、学校が「思考力、判断力、表現力」を育てる方法を知らないということもあります。
 特に「思考力」は21世紀型能力(@思考力A基礎力B実践力)の中心にあるくらい重視されるべきものですが、それにもかかわらず、つい最近まで、いや現在でも基本的には「知識」をたくさん持っている方が大切といわれているところもあります。
 高校は残念ながら大学入試の影響を受けます。したがって、知識偏重の高校教育を変えるためには、他力本願的ですが、思考力重視を含めた「学力の3要素」に基づいた大学入試改革が確実に始まることしかないような気がします。「思考力、判断力、表現力」をはぐくむことが大事なことだと後になって気づくのではないでしょうか。
 「思考力、判断力、表現力」の能力は、高校における学習場面だけではなく、将来社会人となり、地域や企業等で社会的な活動を展開するときに必要となります。
 これらの能力は「知識」のように教え込んでも身に付きません。学習意欲と同じように育てる学力だからです。
 「思考力」は、今まではなんとなく育つものとか生徒自身が元々能力として備えていたくらいにしか考えられていませんでした。
 「思考力」をはぐくには、生徒が目的意識を持って考える活動を繰り返し体験することといわれています。先生が終始一方向的に知識を伝達しているような授業では育ちません。
 授業において、たとえば、比較、関連、演繹、帰納、分類、仮説、結合、などの思考操作を使いながら、生徒に思考させる場と時間を意図的に設定し、思考を促す問いがけをすることによって、生徒は思考し、その結果として思考力が育っていく、といわれています。
 思考するスキルを身に付けると、それらを働かせながら思考する生徒に成長していくといわれます。そのような思考力を育てる取組は待ったなしで求められていると思います。



今後の社会を考えると… 2017年07月09日(日)

 さて、電話は1876年で35年、ラジオは1897年で31年、カラーテレビは1951年で18年、携帯電話は1983年で13年、インターネットは1991年で7年、この西暦と年数は何を指しているでしょう。
 答えは、それぞれのツールが発明された年とその年から米国民のうち25%が使うようになるまでに要した年数です。なお、このデータは米国国家情報会議の資料によります。
 携帯電話は13年、インターネットではわずか7年で米国民の25%に普及しました。
 インターネットの発明から、携帯電話を使ったインターネットサービスの提供までもわずか数年でした。
 知識基盤社会といわれている今日、知識・技術・情報は、以前に比べると驚くような速さで、深く、広く進んでいます。今後、そのスピードは今まで以上に加速度的に変化するであろうといわれています。
 更に、もう一つ見逃せないことがあります。それは、発展途上国において、最新技術を吸収するペースや新技術の普及が以前に比べて早まっていることです。
 米国の最新技術が次々に米国民の日常生活に取り込まれていくことはわかりますが、最近のトレンドとして、発展途上国においても、こうした最新のテクノロジーの浸透が加速度的に広がっているという事実です。これらにより、開発が進みやすい土壌が発展途上国にでき始めているといわれています。ですから、発展途上国が先進国に近づくスピードは20世紀とは比較にならないといわれています。
 ところで、アウンコンサルティング株式会社(日本)が、スマートフォンの使用率について、世界40カ国を対象に2016年2月に調査しました。
 その結果、日本54%、中国74%、韓国83%、インド33%、インドネシア43%、シンガポール88%、サウジアラビア86%、オーストラリア77%、米国58%、ブラジル53%、EU諸国はおおむね60%以上、という使用率になりました。アジア圏においても予想以上に普及していることがわかります。
 今後10年の間に、世界のあらゆる地域で、数億人規模で中間所得者層が誕生するといわれています。現在、発展途上国では人口が多いだけでなく貧困層についても比較的多いといわれていますが、今後はそれらの国々も近代化が図られて貧困がどんどん減少し、代わりに中間所得層が増加するであろうといわれています。
 そのような国々の勢いを横目に見ながら、少子高齢化により生産年齢人口が減少する日本の世界における地位は、今後どんどん低下するともいわれています。
 将来どのような社会になるか、今まで以上にわからない状況の中で、生徒たちに、その社会の中で生き抜くための資質・能力を身につけるような指導をするか、高校の先生の腕の見せどころではないでしょうか。



不安な個人、立ちすくむ国家 2017年07月04日(火)

 5月に開かれた経済産業省設置の産業構造審議会第20回総会において、次官・若手プロジェクトのメンバー(各省内の公募で参画した20代、30代の若手30人により構成)が「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」を発表しました。
 このプロジェクトの趣旨については「国内外の社会構造の変化を把握するとともに、中長期的な政策の軸となる考え方を検討し、世の中に広く問いかけることを目指す」と資料の説明にありました。
 この中に、昭和の標準モデルであった「昭和の人生すごろく」についての説明がありました。経済産業省の試算(1980年代生まれは推計含む)を基に作成されたようです。
 昭和生まれの女性の標準的な人生として、「結婚して、出産して、添い遂げる」生き方があげられています。しかし実態としては、「昭和の標準的な人生」を送っていたといわれる世代(1950年代生まれ:60歳以上)ですら、81%の人しか実現できていません。それが、「昭和の標準的な人生」を送っていない現役世代(1980年代生まれ:30歳以上)においては、未婚、子供なし、離婚等の増加により、現時点で58%の人しか「昭和の標準的な人生」を送っていません。後30年後には数値がもっと下がっているでしょう。
 また、昭和生まれの男性の標準的な人生として、「正社員になり、定年まで勤めあげる」生き方があげられていますが、その実態は、「昭和の標準的な人生」を送っていたといわれる世代(1950年代生まれ:60歳以上)ですら34%、現役世代(1980年代生まれ:30歳以上)においてはわずか27%の人だけでした。終身雇用制度はかなり崩壊していますから、後30年、定年までとなるとその数値はさらに下がるのは明らかです。
 女性は「結婚して、出産して、添い遂げる」、男性は「正社員になり定年まで勤めあげる」。
 つまり、「夫は定年まで外で働き、妻は家を守る」といった価値観は1960年代の高度経済成長期に形づくられたものであり、昭和の時代には当たり前のようにいわれていました。
 ここで問題にしているのは、この価値観を平成になっても引きずっているところです。更に今の社会システムも、高度経済成長期といわれた 1960年代の日本社会を前提につくられたものであり、50年以上たっているにもかかわらず根本的にはこのシステムが今も変わっていないところです。そのために、現在いろいろなところでひずみが出てきています。
 これからの社会は、グローバル化、AI・ロボットなど急速な技術革新、さらに日本特有の急速な高齢化です。今後の社会は、いまだかつて経験したことのない加速度的な変化に直面するでしょうし、個人の生き方や価値観も急速に変化するでしょう。しかし、日本の社会システムの根本はもしかしたら変わらないかもしれない、このまま変わらなかったらどうなってしまうのか。経済産業省の次官や若手の焦り、いら立ち、不安がなんとなく伝わってくる資料でした。
 このまま日本が、従来どおりを「良し」として、大きな発想の転換や思い切った選択をしていかなかったら、どうなってしまうのでしょうか・・・



同窓会総会挨拶 2017年07月01日(土)

 校長の田口です。本日は同窓会定期総会ということで、お足元の悪い中、お運びいただきまして誠に恐れ入ります。また日頃より同窓生の皆様には物心ともに、ご支援ご協力いただき、ありがとうございます。
 さて、この場をお借りしまして、今年度の学校の大きな取組について3つ、お話をさせていただきます。
 まずは、本校創立100周年に関することです。現在、実行委員長である宮地同窓会長を中心に11月2日の創立記念式典などに向けて着々と準備が進んでいますが、今回100周年記念に際して、桐高の教育環境整備に同窓会より沢山のご支援をいただきました。
 具体的には、次に話をさせていただきますスーパーサイエンスハイスクールの探究的な活動を行う時に必要になるiPad50台、プロジェクターと全教室にスクリーンです。ご寄贈、本当にありがとうございました。有効に活用していきたいと思います。
 ふたつめですが、先進的な理数教育を実施する学校、スーパーサイエンスハイスクールとして、文部科学省より、平成19年度から2期連続して10年間指定されましたが、平成29年度からも、更に連続して平成33年度までの5年間指定を受けることができました。
 今回の本校のスーパーサイエンスハイスクールは、学校全体で理数教育を基盤にしながら、理数科だけでなく普通科の生徒も含め、桐生を素材としながら、市、教育委員会・群馬大学・商工会議所・民間企業・NPOなどと連携して探究的な活動を行うプログラムです。
   ちなみに、申請のときには文部科学省から高い評価を得ることができました。
 メインの取組の中で、「桐生学」や「桐生をフィールドとした探究的な活動」を行いますが、その際に、全校生徒対象になりますので、学校の力だけでは足りません。ぜひ同窓生の皆様方の知識や経験をお貸しいていただければと思いますのでよろしくお願いします。
 最後に平成33年に開校する新高校についてです。
 2月と6月、2回にわたる新高校準備会主催の意見聴取会がありました。8月に県教育委員会主催で意見交換会が行われます。その結果を基に最終的に県教育委員会が判断して、9月頃に発表になります。
   意見交換会で変更になることもありますので、途中経過の報告ですが、聴取会では全日制の普通科、理数科並びに桐女の通信制を引き継ぐとともに、「男女共学のトップ進学校、桐生駅前に誕生」というキャッチコピーの方向で認められました。
 桐高の普通科に女子が入るだけではないかといわれないように、桐女の伝統を踏まえ、また2020年度以降の大学入試の大改革において、県内で最も対応した形の新高校づくりを目指します。
 なお、新高校につきまして、何かございましたら、是非学校へ一報いただければと思っています。
 最後に、本日の同窓会定期総会につきましてはよろしくお願いします。



学力の3要素 2017年06月25日(日)

 今日、人工知能、ロボット、Iot、自動運転車などの言葉を見たり聞いたりしない日はないでしょう。インターネットの普及以来、急激な技術革新が起こり、社会は大きく変化しています。
 例えば、人工知能については、2012年から急速に研究が活発になったディープラーニングにより、教え込まなくても勝手に賢くなるシステムが普及し、それによりレベルが一気に上がりました。人工知能が膨大なデータの中から特徴を見つけ出し、情報をより深く伝達しながら学習を繰り返すことで飛躍的にレベルアップしたといわれています。
 経済学者のジョン・メイナード・ケインズ氏は「2030年までには、週15時間程度働けば済むようになる」とか、オックスフォード大学準教授のマイケル・オズボーン先生は「10〜20年後には今ある職業の約47%は人工知能やロボットなどにより代替されている」と報告しています。人工知能などに代替されずにその職業に就いていられるか、さらに人工知能などを巧みに操る側で仕事をしているか、あるいは反対に代替されて職を失い路頭に迷うか。近未来社会においては、転職は常識になるといわれており、おそらく一生涯同じ仕事ができる幸運な人は限られるでしょう。
 このような変化の予測が困難な社会を生き抜くためにはどうすればよいか。そこで身に付けるべき力として出てきたものが「学力の3要素」< (1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等の能力(3)主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度>です。
 文部科学省では、この「学力の3要素」を高校と大学で一貫して育てるために、大学教育と高校教育、そしてその接続部分である大学入学者選抜を一体的に改革することを決めて、現在それを完成すべく着実に推進しています。
 大学入学者選抜の急激な変化としては現在の中学3年が受検する2020年度ですが、もうすでに大学入学者選抜の改革は始まっています。例えば、センター試験では「学力の3要素」の一つである思考力をみる問題が増えてきました。国公立大学では「学力の3要素」を踏まえたAO入試や公募推薦入試などが増えてきました。国立大学協会は、国立大学改革に向けた「アクションプラン(中間まとめ)」に、推薦入試・AO入試を入学定員の3割に拡大する方針を盛り込んでいますから、今後ますます増加するでしょう。
 本校では、「大学入学共通テスト」を含む新しい入試制度に対応するために、すでに学校全体で、思考力を身に付けるための探究的な活動や全員が英検2級を取得するための取組にチャレンジしています。スーパーサイエンスハイスクール(以下「SSH」)では、学校全体で理数教育を基盤にしながらも、「学力の3要素」を身に付けるために、理数科だけでなく普通科の生徒も含め、桐生を素材としながら、市、教育委員会・群馬大学・商工会議所・民間企業・NPOなどと連携して探究的な学習を行うプランを計画し実行しています。
 学校経営においても、3年間で「学力の3要素」を身に付けるために、授業、SSHの探究活動、部活動・学校行事を互いにリンクさせながら系統的に行えるように試行錯誤をしているところです。



コミュニケーションはキャッチボール 2017年06月22日(木)

 昔ある学校の校長が挨拶の中で、「コミュニケーションはよくキャッチボールにたとえられます。キャッチボールの時には双方が、相手が取れる位置やタイミングでボールを投げています。コミュニケーシヨンをはかるときでも同じことが必要だといわれています。ところが私は、職員に対して、いつもドッジボールの時に投げるようなボールを職員に投げていました。今思うと職員とのコミュニケーションをはかるためにキャッチボールのときに投げるようなボールを投げておけばよかった」ということを冗談交じりに話していました。
 一般には、キャッチボールのスローインは相手が取りやすい場所、タイミングで投げてやることで、ドッジボールのスローインは相手の取りにくいボールを相手めがけて投げつけることです。
 ただしキャッチボールを、ウォームアップではなくトレーニングとしての位置付けとして、目標を取れる範囲を広げることならば、いつも取りやすい場所に取りやすいタイミングでボールを投げていたらダメでありその人はうまくなりません。それどころか、易しいボールばかりだとだんだん集中力がなくなってきます。
 投げる方が意識して徐々にボールを少し遠く投げたり、少しタイミングを外して投げたりすることで、受ける方の取れる幅を広げることができるのです。
 一方ドッジボールでも、最初から、投げる方が取りにくい場所やタイミングで投げられるわけではありません。初めは相手めがけて正確に投げる練習をすることで、徐々に取りにくい位置、タイミング、球質で投げられるようになります。
 コミュニケーションをはかろうとするとき、相手の立場に立つことは基本です。しかし実践的になるにしたがって、つまり、文化の違う人たち、育ってきた環境が違う人たち(外国人はもとより、日本人同士でも、住んでいる地域や家庭環境などで考え方が大きく異なる)との間でコミュニケーションをはかろうとするとき、自分自身が描いた相手の立場に立って話すことが通用しなくなることがあります。
 つまり、良かれと思ってやったことが相手の逆鱗(げきりん)に触れることもあるかもしれません。
 コミュニケーション能力を高めるためには、キャッチボールのように相手の立場に立って会話することがもちろん基本ですが、時にはドッジボールのように取りにくいようなボールを投げ合うキャッチボールも必要なのではないかと思います。



主体的学習者育成プログラム 2017年06月21日(水)

主体的学習者育成プログラム  産業能率大学が、文部科学省から「大学教育改革加速プログラム」の採択を受けました。
 本校では、そのプログラムの推進責任者である経営学部准教授の杉田一真先生による100分の講義2回を教員研修として実施しました。
 杉田先生が、理数科2年の生徒のうち約30名を対象に講義を行い、それをみんなで観察しました。講義終了後、杉田先生と意見交換を行うとともに、講義のねらいや実施上の留意点などを教示いただきました。
 普段、大学生相手に講義をしているとはいえ、面識がない高校生を相手にあそこまで展開できることに驚きました。杉田先生の専門は、教育学や初等中等教育に関するものではなく、大学では「会社法入門」「ビジネスと取引のしくみ」「ブランドプロデュース」「キャリアを考える」「プロジェクト・リーダーシップ実践」などを担当しているようです。
 今回の研修の内容は、「大学教育改革加速プログラム」のうち、大学の初年次教育の部分でしたが、本年のSSHは学校全体で探究の基礎を学び、それを活用しながら探究的な活動を行い、主体性、協働性、創造性、やり抜く力などを身に付けることが目的としていますので、今回のテーマが大学の初年次教育の内容にぴったり一致していると思いました。
 研修の最終目標としては、研修で学んだ手法を用いて、9月に1年の担任が自分のクラスで、授業することになっています。今回の研修は、自分が実際に行わなければならない1年の担任が最も主体的に学んだかもしれません。
 杉田先生からは、世の中の事象に対して問題意識を持って観察することの必要性、答えは一つとは限らない正解が常にあるわけではなく最適解を求めることもあること、常識と思われていることの視点を変えて考えてみること、気づきを多様な視点から解釈することの重要性など。そして見通しを持たせて始める、振り返りを行うことの重要性などでした。
 現在、授業、探究的な活動はもちろん、部活動や学校行事においても、まずは見通しを持たせて始めること、そして最後は振り返りを行うこと、この2つが主体的に取り組ませる上で重要だといわれています。
 ただ高校で行われている授業を見る限り、はじめに見通しを持たせてから展開していく、ほんの数分でも最後に振り返りを行っている場面をあまり見たことはありません。
 教員が、とにかく教科書の内容をどんどん伝えなければならないという考えが先に立っているからかもしれません。高校では教科書も厚く、内容も豊富なので、どんどん進める必要はありますが、一字一句をすべて伝えようとすることは無理です。
 教える内容を精選してポイントだけを述べて、後は生徒の主体性に任せてポイント以外の内容は自分で学習させる仕掛けが必要です。
 以前、教科書が試験範囲まで終わらないとか学年末になっても教科書が終わっていない教員がいましたが、まずは教える内容をしっかり精選して、進度のペース配分を間違えないようにして、最初に決められたところまで進むというのは、基本中の基本です。
   知識を大量に生徒へインプットさせればそれで自分の責任を果たした、その後それをどう再構成しアウトプットするかは生徒次第だという考えならば大変な間違いです。学びの手法をどこかですでに身に付けている生徒は、インプットされたものを再構成してアウトプットするという流れは教員に言われなくてもわかります。しかし、多くの生徒はそれができません。だから知識が定着していないままテストや模試を受けるので点数が取れないのです。



3年・保護者進路学習会 2017年06月15日(木)

 6月の初めにありました山紫祭では大変お世話になりました。おかげさまで無事終わることができました。まだインターハイや夏の甲子園大会の予選など、3年最後の大会に向けて継続して部活動に取り組んでいる生徒もいるかもしれません。
 さて、本日は3年進路学習会ということで、3年、そして保護者の方にお集まりいただきましたが、現役合格を勝ち取るためには、受験で必要な考え方や情報を、親子で共有していただくことが、推進する上で、必要なことであります。生徒だけで受験勉強を乗り切ることは現実には困難であり、家庭における保護者の協力が不可欠です。
 ところで、受験勉強というと、とかくマイナスのイメージを抱きやすいです。
 現実の社会では勝ち負けがはっきりすることが多いのですが、学校生活の中では意外とそのような機会を得られません。しかし、受験では、勝ち負け、あるいは成功失敗がはっきりします。
 ですから、その分本人にプレッシャーが大きくかかります。
 しかし受験を逃げずに正面から取り組めば、その中でたくさんの力を身に付けることができると考えています。実は「受験により、これからの人生と送るうえでの心構えを身に付けることができる」のではないかと思います。
 例えば、「目標を明確にして計画を立てる力」そして「その計画を実行する力」「やり続ける力」「失敗したらそれを修正する力」「時間を意識しながら行動する力」「挫折をしても最小限の労力と最短時間で乗り切る力」など、を身に付けることができます。
 そして、模試の活用です。模試はあくまでも模試ですが、上手に活用すれば合格までのロードマップになります。
 センター試験では、その結果が出たら、それを基に最終的な志望校を考えていかなければなりません。しかし模試ではそんなことはありません。模試の結果がどんなによかったとしても合格の保証にはなりません。
   模試でA判定を出してもそれは合格を意味していません。逆にD・E判定であっても不合格を意味していません。A判定でも入試本番でできなければ不合格、反対にD・E判定であっても本番がよければ合格できるのです。
 ですから、模試の示す合格可能性に一喜一憂してはいけません。それよりも模試で自分ができなかったところを確実にできるようにしておくことです。模試のよいところは、自分のできるところとできないところをはっきりさせてくれて、自分が勉強上での指針となってくれることです。模試を利用して、常にチャレンジする精神で受験勉強に臨んでいくことが大切かと思います。
 また、合格を手に入れるには最終的には時間をかけることが一番です。ですから、途中過程で自分の思いどおりの結果が出なくても、逃げずに、あきらめずに、最後まで食らいついて、努力し続けてほしいものです。
 本日は、駿台予備校大宮校の教務課長の北澤優子様から、合格までの受験勉強の仕方のポイントについて丁寧に説明していただけることになっていますので、お聞き漏らしのないようにお願いします。



SSH第1回運営指導委員会 2017年06月12日(月)

 群馬県教育委員会には、本日、本校のスーパーサイエンスハイスクール(以下「SSH」)第1回運営指導委員会を開催していただき、また、高校教課長様、指導主事様にはお忙しい中、本校にお越しいただきまして誠にありがとうございます。
 運営指導委員の皆様におかれましても、ご多用のところ、また遠路よりお越しいただき、ありがとうございます。
 今回の運営指導委員会が、お忙しい時期での設定であったり、開催の連絡が遅くなってしまったりしたこともあり、委員の皆様には日程調整で大変お手数をおかけしました。
 委員長の群馬大学の宝田先生には、本日、新しいSSHの取組の柱でもある「桐生の活性化やその取組の意義」「地域人材や資源の活用」などについて、ご自身の実践してきた取組やその成果について具体的な例を挙げながら説明していただくとともに、本校の取組についてご示唆いただける予定でしたが、急に腰が悪くなり欠席せざるを得ない状況になってしまいました。
 本日は、ピンチヒッターとして、宝田先生とともに桐生の活性化を様々な形で推進してきました群馬大学教授の天谷先生と宝田先生の秘書で未来創成塾を運営しています小島様に、急きょ説明していたくことになりました。
 ところで、昨年度までは毎年10月頃に第1回運営指導委員会を開催させていただきました。今年度については、新たに3期5年が指定されたこと、また今までの10年間とは本校SSHのコンセプト(構想)や内容を大きく変えたこともありまして、できるだけ早い時期にそれについて説明させていただき、委員の皆様から指導助言をいただきたいと考えました。そのような理由から今年度は第1回を6月に設定させていただきました。
 今回のSSHでは、申請において、研究開発課題名を「これからのよりよい社会を創り出す主体性・協働性を身に付けた科学技術系人材の育成」とし、目的を、「社会との協働を通して見出した課題を解決するために,習得した知識・技能を活用する力と粘り強く挑戦する力を備え,国内外の多様な人々の中で主体的・対話的に活動できる科学技術人材を育成する」こととしました。
 いままでのように理数科の一部の生徒に対して、最先端や高度な科学技術を学ばせることを特に重点にしていません。しかし、探究的な活動の結果として理数科の生徒たちの学びが深まり、最先端や高度な科学技術へ興味を持って調査したり、群馬大学理工学部の研究室で実験やアドバイスをもらったりする機会は増えると考えています。
 今回、理数科はもちろん、普通科を含めて学年全体で取り組みますので、探究活動の質が濃から淡まで多様化してくると思います。しかし、まずは生徒に、何かを思考させたり、表現させたり、深めさせたりするとき、必要な基盤づくりのために、最低限の手法「学びの技法」を身に付けさせていくことを第一に考えました。
 また、日ごろ生徒は、勉強や部活にほとんどの時間を費やしてりため、地域や身の回りに焦点を当てる余裕がない状況にあるので、その部分を「桐生について学ぶ」ことでしっかり光を当てて思考力を高めていこうと考えています。
 学校全体で、生徒の主体性をはぐくむことに真正面から取り組もうと考えています。現実的には様々なことに取り組むので、実施するに当たり難題を一つ一つクリアにしないといけないと考えています。今回の新SSHではそれに敢えてチャレンジしようと計画を立てましたので、文部科学省からも大いに評価をされて、期待されているところです。
 本日は、運営指導委員の皆様から、3期目のSSHの取組について、様々な視点から指導・助言をいただければありがたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。



多元化する「能力」と日本社会 2017年06月11日(日)

多元化する「能力」と日本社会―ハイパー・メリトクラシー化のなかで(http://www.nttpub.co.jp/ から引用)  東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授は、「多元化する「能力」と日本社会―ハイパー・メリトクラシー化のなかで」という本をNTT出版から出しています。
 昔は、とりあえず学校の勉強ができていれば、周囲から認められたし、将来の安定は保証された(?)ので、いわゆる勉強ができる子にとっては未来はそれほど怖くなかったかもしれません。
 以前の日本は「業績主義」、「能力主義」であり、日本社会は学歴(どの大学を出たかが重要)主義で、年功序列、終身雇用でした。つまり、日本の近代社会は、学歴をはじめとする手続き的で客観的な能力が求められてきたという意味で、メリトクラシー<メリトクラシー (meritocracy) とは、メリット(「業績、功績」)とクラシー(ギリシャ語で「支配、統治」を意味する)を組み合わせた造語>的であったといわれています。
 近代社会で重視された能力の特徴的なキーワードを挙げるならば、「基礎学力、標準性・知識量・知的操作の速度 共通尺度で比較可能性 順応性 協調性・同質性」でしょうか。それらの能力を身に付けている人が「能力が高い」と評価されました。
 しかしながら、最近は「勉強だけではだめ」といわれるようになりました。それ以外の「人間力」(意欲やコミュニケーション能力など)も世の中から強く求められてきました。
 ちなみに、勉強はできるけど人間力はないという生徒は意外といます。その生徒にとってはこのまま大学生⇒社会人になったとき、社会を生き抜いていけるのか不安になります。
 本田教授は、「超業績主義」を意味するハイパー・メリトクラシーという造語をつくりましたが、このハイパー・メリトクラシーとは、コミュニケーション能力をはじめとする独創性や問題解決力などのような、より本質的で情動に根差した能力を指しています。
 将来を予測することが困難な時代に生き抜くために、文部科学省や中央教育審議会では、新学習指導要領において、資質・能力の三つの柱を示し、そのうちの一つである「学びを人生や社会に生かそうとする『学びに向かう力・人間性等』」について、それを育成することを求めています。
 ただ、がむしゃらに勉強をして基礎学力のみを高めても、近代社会を生き抜きその価値感を引きずっている年配の人には評価されるかもしれませんが、これからの社会においてはあまり評価されなくなります。
 「人間力」を学校で育てるのは少し難しいかもしれません。なぜなら、まずは教員のパラダイム転換が必要になって来るからです。近代社会を生きてきた教員の中には、人間力は基礎学力と同等、あるいはそれ以上に大切だと生徒に教えることが経験上難しい人もいるかもしれません。
 ポスト近代社会においては、近代社会において重視された「基礎学力 標準性 知識量・知的操作の速度 共通尺度で比較可能性 順応性 協調性・同質性」は非正規雇用者にとって必要な能力とされます。では、正規雇用者に必要な能力は何か?「生きる力 多様性 意欲・創造性 個別性・個性 能動性 ネットワーク形成力・交渉力等」ではないでしょうか。



共通テストの記述式問題のモデル問題例 2017年06月05日(月)

モデル問題例(http://www.mext.go.jp/ から引用)  2020(平成32)年度から大学入試センター試験に代わり導入される予定の「大学入学共通テスト(仮称)(以下「共通テスト」)」の記述式問題のモデル問題例が5月16日に文部科学省から公表されました。共通テストは「知識偏重」から脱し、思考力や表現力を測る入試への一歩とするために行われます。
 今回の共通テストでは、「国語」と「数学」において記述式問題が一部出題され思考力・表現力などが評価されます。
 なお、現行の大学入試センター試験でも、教科・科目マーク式の部分であっても、受験生の「学力の3要素」について多面的、総合的に評価する問題に転換するようです。
 今回、国語と数学の問題例が2題ずつ公表されました。どちらの問題も現行の学習指導要領に基づいて出題されたものでした。
 「共通テスト実施方針(案)」においては、出題教科・科目は、国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、専門学科に関する科目になります。なおマークシート式問題は、思考力、判断力、表現力を一層重視した作問となるように見直しを図るようです。また、記述式問題の作問・出題・採点については、大学入試センターで行い(民間業者も有効に活用する)、採点結果をマークシート式問題とともに大学に提供し、各大学で結果を活用することになるようです。
 「国語」は古文・漢文をのぞく「国語総合」の内容で、出題は文字数80〜120字程度の問題を含めて3問程度。マークシート式問題と記述式問題の大問は分けて出題し、試験時間はマークシート式と合わせて100分程度と想定しているようです。
 問題の例としてあげられていた「行政機関の広報誌を題材に景観保護の意見を80字〜120字以内で述べる問題」の出題のねらいは、「架空の行政機関が広報を目的として作成した資料等を題材として用い、題材について話し合う場面や異なる立場からの提案書などを検討する言語活動の場を設定することにより、テクスト(情報)を場面の中で的確に読み取る力、及び設問中の条件として示された目的等に応じて表現する力を問うた」とありました。
 「数学」の記述式問題の出題科目は「数学I」「数学I・数学A」。出題範囲は「数学I」の内容とし、数学的な処理を行って解決して結果を得るために数式や図表、グラフなどで表現するなどの3問程度。大問の中にマークシート式問題と記述式問題を混在して出題。試験時間はマークシート式と合わせて70分程度と想定しているようです。
 問題例としてあげられていた「銅像の高さや鋭角を確かめるために式を用いて記述する問題」の出題のねらいは「『銅像』が最もよく見える位置を考察するという日常生活の問題を題材とし、事象の特徴を捉えて数学的な表現を用いて表現する力(事象を数学化する力)、数学化された問題を解決するための見通しを立てる力(構想力)、解決過程を振り返り、得られた結果を元の事象に戻してその意味を考える力を問うた。なお,本問題は、具体的・実践的な課題解決方法に対して、数学を活用し,数学的論拠に基づいて課題を解決する場面を設定することで、『数学のよさ』を認識させることもねらいとして構成している。」とありました。
 共通テストで入試が変わるといいますが、2020(平成32)年度から突然変わるのではなく、もうすでにそれに向けてセンター試験も個別試験もどんどん変わってきています。在校生は新テストに関係ないと教員も生徒も考えている場合が多いですがそれはいかがなものかと思います。



高大接続改革の進捗状況 2017年06月02日(金)

高大接続改革:「三つのポリシー」に基づく大学教育改革の実現に向けて(http://www.mext.go.jp/ から引用)  文部科学省では、平成29年5月16日に、「高大接続改革の進捗状況について」を公表しました。
 これは、平成28年3月31日付けで、高大接続システム改革会議が公表した「最終報告」を踏まえ、高大接続改革の着実な実現に向けた当面の検討課題について具体的な検討状況を公表したものです。
 高校の教育課程の見直しについては、平成28年12月答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」に基づき、本年度内に高等学校学習指導要領の改訂が行われる予定です。
 学習・指導方法の改善については、生徒の資質・能力を育成するために「主体的・対話的で深い学び」の視点による学びの改善を学習指導要領と一体的に議論しているそうです。
 教員の指導力の向上については、「教育公務員特例法等の一部を改正する法律案」が臨時国会に提出され成立しました。教育改革を進めるには、先生のパラダイム転換がなければ進みません。現状としては従来からの指導方法から脱却できない先生が多いことは事実です。
 多面的な評価の推進については、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の実施内容・方法等の検討を行い「論点整理」が行われました。このテストは、PDCAによる高校の授業改善するために行うという意味合いが強いものです。
 中央教育審議会の答申を受け、改訂される学習指導要領を踏まえ、指導要録の参考様式を改訂するようです。また「検定試験の評価ガイドライン」については、平成28年度から策定について検討しているところです。
 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)(以下「学力評価テスト」)」については、記述式・英語の実施方法・時期等について検討され、その実施方針(案)を取りまとめ、公表しました。
 個別大学の入学者選抜の改革については、国公私立の別を問わず、各大学の方針(アドミッションポリシー)に基づき、受検者を多面的・総合的に評価するための入学者選抜改革の取組がすでにどんどん行われています。
 高等学校や大学関係者等による「大学入学者選抜方法の改善に関する協議」の場で、入学者選抜に関する新たなルールづくりや調査書・提出書類の改善等について検討し、平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告(案)を取りまとめられました。
 「三つの方針(ポリシー)」に基づく大学教育の質的転換については、@卒業認定・学位授与(ディプロマポリシー)、A教育課程の編成・実施(カリキュラムポリシー)、B入学者受入れ(アドミッションポリシー)の「三つの方針」を策定し公表することを各大学に義務付け、平成29年4月から施行しています。なお、「三つの方針」策定・運用に関するガイドラインについては文部科学省が作成し配布しています。
 認証評価制度については、平成30年度から、各大学が「三つの方針」等を共通評価項目とし認証評価をするときに反映させることとなりました。
 今話題となっている「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」はその仮称が「大学入学共通テスト(仮称)」となりましたが、改革は共通テスト以外でも着実に進んでいます。



「高校生のための学びの基礎診断」と「大学入学共通テスト」 2017年05月30日(火)

高大接続改革(大学入学者選抜改革)(http://www.mext.go.jp/ から引用)  過日、全国高等学校長協会の総会・研究協議会がありました。研究協議会では文部科学省から行政説明がありました。
 特に2020年度からの大学入試については、高等教育局の角田大学振興課長から、5月16日に公表した「高大接続改革の進捗状況について」の説明がありました。
 これは、平成28年3月31日付高大接続システム改革会議「最終報告」を踏まえ、文部科学省が高大接続改革の実現に向けて、検討・準備グループ等をつくり、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の「実施方針」など、具体的な検討を進めてきた当面の課題について現時点の進捗状況を公表したものです。
 初等中等教育のカテゴリーである高校の校長会に高等教育局の課長がきて説明することは通常考えられません。文部科学省の高大接続改革にかける意気込みを感じました。
 角田課長の説明は大きく3点でした。
 ひとつは、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」についてです。これは大学入試センター試験に代わって行うテストであり、「大学入学共通テスト(仮称)(以下「共通テスト」)になるようです。
 共通テストは、大学入学希望者を対象に、高校段階における基礎的な学習の達成度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力があるかどうかを把握することを目的として行います。具体的には、各教科・科目の特質に応じ、知識・技能を十分に有しているか、更に思考力・判断力・表現力を身に付けているかどうかを評価するようです。
 なお、英語については4技能(聞く、話す、読む、書く)を評価します。評価方法については二つ案が示されて、A案として、共通テストでは英語の試験を実施せずに、資格・認定試験(以下、認定を受けた資格・検定試験を「認定試験」)の結果を大学入試センター(以下「センター」)が認定しそれを活用する方法、B案として、共通テストで英語の試験を実施する。同時に、認定試験の結果をセンターが認定しそれを活用する。各大学の判断で共通テストと認定試験のいずれか、又は双方を選択利用することができるようにする。
 現在、本校では年2回、原則全員受検で英検を受けていますが、2年終了までには多くの生徒が2級に合格してほしいものです。現在、英語科の先生方が中心になって、生徒に対して指導を行っています。
 また、入試の形態は、今までと大きく変わります。現在は、一般入試、AO入試、推薦入試ですが、2020年度以降は「一般入試」が「一般選抜(仮称)」(基本形)に、「AO入試」が「総合型選抜(仮称)」に、「推薦入試」が「学校推薦型選抜(仮称)に変更されるようです。またAO入試、推薦入試においては徐々に学力検査(共通テストなど)を導入する動きがあるようです。
 高校の教員が考えている以上に大学入学者選抜の変化のスピードは大きいです。文部科学省は、新たな共通テストの実施に向けて、その準備を着実に進めているようです。



主体的・対話的で深い学び 2017年05月26日(金)

主体的・対話的で深い学びの実現(http://www.mext.go.jp/ から引用)  平成29年3月31日に告示された中学校学習指導要領から「アクティブ・ラーニング」という言葉が消え、授業における「主体的・対話的で深い学び」の視点が全面的に使われるようになりました。
 おそらく本年度末に告示される高等学校学習指導要領でも同じになるでしょう。文部科学省によると、「アクティブ・ラーニング」は、言葉としてはすっと入って来るけれども、解釈が人によって異なるために、どのように授業で取り組めばよいかわからない、あるいはグループ学習ありきの画一的な指導になってしまう恐れがあるからだといっています。
 「主体的」とは、一般的には、本人が受け身ではなく能動的であるとか、チャレンジ精神があるとか、一歩踏み出す勇気があるとかを指します。授業における視点として、文部科学省の長尾視学官は「1時間ごと、あるいは単元ごとの学習を振り返って現状を把握し、その後の学習を適切にコントロールして粘り強く取り組むこと」といっています。「見通し」や「振り返り」により、やることが明確になるほど学習は積極的になるといわれています。
 「対話的」とは、先生と生徒の対話、生徒同士の対話、書物などと自分自身との対話のことを指しています。他者との対話や質疑応答などを通して、自分の考えをまとめたり、深めたり、広げたりすることができるはずです。また対話における相手から言葉が自分の考えを深める時のヒントを得ることもあります。対話というのは言語活動のことですから、対話を充実させることは、実は現行の学習指導要領と基本的には同じであり、特段新しいことではありません。長尾視学官は対話的であるためには「わからないことやできないこと、間違えることを受け入れることができる学習集団をつくることが大切である」といっています。そのための先生の役割は非常に大きいです。
 「深い学び」とは、これも言葉としてはすっと入って来るけれども、具体的にどのようなことを指すのかわからない言葉ではないでしょうか。
 最近は、アクティブな学びより深い学びのほうが強調されてきたような気がします。
 京都大学の石井英真先生は、「学びが深まったと感じるのは、自明であったもの、わかっていたつもりであったものについて、その見方が変わったとき、より腑に落ちたり、新しい視野が開けた感覚を持てたりしたとき」といっています。
 深まったと思えるのは、「様々な意見が縦横につながり、新たな視点や着想や発見が生まれ出ることでもたらされたとき」「なぜなのか、本当にそれでいいのだろうかと、理由を問うたり前提を問い直したりして、一つの物事を掘り下げることでもたらされたとき」といっています。
 グループを単位とした学び合いでは、多様性があるために、小さな発見や視点転換が多く生まれるので、自分の考えを再構成したり、新たな課題を、発見したり発見しやすいといわれています。そのために、まず一人一人が、意見交換の前に自分の考えを集中してまとめてみる、学び合いで得たことを最後に振り返ることが重要です。そのことで深い学びを得ることができると思います。



将来、仕事が奪われる? 2017年05月24日(水)

人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合(https://www.nri.com/ から引用)  読売新聞には「学ぶ育む」という教育面があり、そこには「18歳の1票」という特集が連載されていました。今月のテーマは「人工知能(以下「AI」)」であり、5月13日付では「将来、仕事が奪われる?」という内容の記事でした。
 AIは第4次産業革命のけん引役として期待されている一方で、将来の私たちの仕事を奪うのではないかと心配する声も出ています。
 AIとどう付き合うかが今後の課題になります。将来は、AIやロボット(以下「AI等」)にできることはAI等が行い、できないことに対して人間が行うということになるかもしれません。つまり、AI等を中心に据えて仕事をすみわけしていくやり方です。
 産業界の動きを支援しようと内閣府の人工知能技術戦略人工知能会議では、AIの産業化に向けた工程表を出しています。第1段階(現在〜2020年)では、AIを活用した「スマート工場」の整備。農業の無人化。AIによる診察支援、創薬支援。第2段階(2020年〜2025年)完全自動運転により移動時間を仕事や趣味に活用できる。無人配達サービスの実現。熟練医師の技を再現する手術ロボットの登場。第3段階(2030年以降)完全自動運転で死亡事故ゼロになる。ロボットが家族の一員として介護などを行う。自宅で高度医療技術・機器の利用。特に第2段階の自動運転車については、群馬大学理工学部がもうすでに桐生市街地で社会実験を始めており、群馬大学の板橋教授によると「そう遠くない未来には自動運転タクシーが桐生でも走るだろう」といっていました。効率化や無人化が進めば進むほど、AIやロボットなどの役割が加速度的に進んできます。
 野村総合研究所(以下「野村総研」)は、英国オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授らとの共同研究により、国内601種類の職業について、それぞれAIやロボット等で代替される確率を試算しました。この結果、10〜20年後には日本の労働人口の約49%の職業で、AI等で代替が可能との推計結果が得られたそうです。
 この共同研究は、野村総研未来創発センターが「“2030年”から日本を考える、“今”から2030年の日本に備える。」をテーマに行っている研究活動のひとつです。AIが人間の職業を奪ってしまうというよりは、日本においては、人口減少に伴い、労働力の減少が予測されるので、AIやロボット等を活用して労働力を補完しなければなりません。その場合に、どのような社会的影響起こるかという研究しています。
 この研究結果において、芸術、哲学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、AI等での代替は難しいようですが、一方で必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業についてもAI等で代替できる可能性が高いことの確認ができたようです。
 創造性、協調性が必要な業務や非定型な業務は将来も人が担う必要があります。
 そう考えると、新学習指導要領の方向である資質・能力の三つの柱を育成することは、やはり生徒の生き抜く力を付けることにつながるようです。



授業公開週間 2017年05月22日(月)

授業公開  5月16日〜5月20日、授業をお互いに見せ合う授業公開週間としました。ただ忙しくて他の先生の授業を見られなかったところもありました。
 5月20日には保護者に授業を公開しましたが概ねよい評価を得ることができました。
 「主体的・対話的で深い学び」の視点で各先生は授業していますので、取組の濃淡はありますが、様々な授業方法で授業をしています。今後も時間を見付けて相互の授業を見せ合いながら研修しあってほしいと思います。
 アクティブ・ラーニング、つまり能動的な学びになっているかは、生徒の脳が活性化し、主体的、意欲的であるかどうかです。要は、生徒の目が生き生きしているかどうかです。
 知識の伝達、知識をインプットさせることは最も必要なことです。ただ、知識をインプットさせるだけでは知識の定着の途中ではないかと思います。自分の中でインプットされた知識を再構成してアウトプットする、その過程で知識の定着が図れるのではないかと思います。生徒が評価されるのはアウトプットされたものの質と量です。
 授業においては、自分なりに再構成してアウトプットする機会を多くの生徒に確保する必要があるかと思います。アウトプットは、書くか、話すかのどちらかです。
 書かせることはアウトプットですが、板書してある文字をノートに写しているときは、一部の生徒を除いて多くの生徒は、自分で再構成することなくそのままコピーしているだけなので、アウトプットにはならないと考えるべきかと思います。
 また、課題については、授業を振り返りインプットしたものを自分で再構成しているならばアウトプットといえるでしょう。ただ友達のノートをそのまま写しているのは全く意味がありません。
 能動的かどうかという視点では、一方向の講義型授業であっても能動的の場合はあります。一方、グループやペアにしても、目的や指示が明確でない場合には、取組自体が受動的になっている場合も見られました。
 生徒の目が生き生きしている授業を行っている先生は、授業の流れにメリハリがありました。また、先生からの指示が明確であり、生徒が次の行動に移しやすいものでした。先生からの講義内容になるほどと思った場合もそうかもしれません。
 反対に授業が間延びしている場合は、生徒の反応が悪いと感じました。グループで学習していても、他のことを考えていたり、協働的でなかったりしていました。グループで行うときには、知識の再構成の機会のほかに主体性や協働性を発揮しているかどうかもポイントになると思います。
 生徒が集中して考えている時に、先生が教えたり話しかけてしまうことが多くみられました。グループやペアで協働性を身に付けさせるのであれば、隣の生徒や理解している生徒に質問するように指示すべきかと思います。先生が答えを教えてくれるならば、生徒同士でディスカッションする必要ありません。
 集中して考えているような時には、できるだけ生徒に話しかけないで見守る(見ているのではなく)姿勢が大切です。ゆくゆくはグループで学びあいの時には、ルーブリック評価をする時間として使えるはずです。
 これから先生に求められるのは、ポイントをついた知識伝達と授業を通して、全体をコーディネート、ファシリテートしていく気持ちではないかと思います。
<ファシリテーション>
 発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させる



PTA総会あいさつ 2017年05月20日(土)

PTA総会  午前中から多くの保護者の皆様には授業の様子を見ていただきありがとうございます。
 現在授業改善に取り組んでいます。生徒が主体的に取り組んでいる授業、先生からの一方向的な知識伝達の講義型に加えて、インプットされた知識を再構成してアウトプット(書く・話す)する機会を増やした授業を目指して授業改善を行っています。
 今年度の大学入試は、国公立大学、私立大学ともに多数合格しました。特に国公立大学は昨年度とほぼ同数の現役で106名でした。特徴的なのは地元大学に多数合格したことでした。群馬大学に37名、高崎経済大学に27名合格しました。地元の国公立大学に合格したことにより、例年以上に合格した大学へ進学した生徒が多かったです。
 理想的には、地元の国公立大学を中心に大学進学を希望している生徒は全員が合格できることです。少なくとも定員の半分、140名以上は合格してほしいと考えています。今後は、そのための指導や学び方について、さらに工夫していく必要があると考えています。
 今年度の県高校総体は陸上競技を残すのみとなりました。現在、軟式野球、少林寺拳法が優勝、バドミントンが2位と健闘し関東大会の出場を決めました。このほか登山部とソフトテニス部が関東出場を決めました。県高校総体は学校対抗なので、各競技における順位により得点が付けられ、その得点の合計で学校の順位付けを行います。昨年度まで3年連続6位以内で入賞しています。今年も陸上競技次第ですが何とか6位入賞までこぎつけてくれることを期待しています。
 ところで、3年前に中央教育審議会から「高大接続改革答申」が出され、昨年、高大接続システム改革会議が「最終報告」を公表しました。この改革は明治以来の学校教育システム改革といわれています。大学教育と高校教育とそれを接続する大学入試を一体的に改革していく計画で、幼稚園から大学卒業するまでの間に3つの力や態度を育てることです。
 3つとは、「知識、技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力(主体性)、人間性(リーダーシップや協働性など)」になります。
 この計画に基づいて、最近の新聞で大きく扱っていた2020年度の大学入試(今の中学3年が大学受験をするとき)からセンター試験が廃止され新テストが実施されます。
 大学入試改革は実はもうすでに個別の大学では2020年度を待たずに始まっています。東京大学はもとより、地元の群馬大学の理工学部においても大学入試改革の影響を受けています。昨年度の群馬大学理工学部推薦入試においては英検の資格が重視されていました。
 高校教育もどんどん変わります。本校では、3年間でどのような能力や態度を身に付けた生徒を育てるかをはじめに決め、そのような能力や態度を育てるために、授業、部活動や学校行事、スーパーサイエンスハイスクール、海外研修をどのように行ったらよいのか、そのための手法として、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点(主体的に取り組む視点、協働的に取り組む視点、深い学びの視点)をどのように取り入れていったらよいのか、そして、計画した教育内容や手法により、はじめに決めた育てたい能力や態度をどのくらい身に付けることができたのか、について一体的に行うことを計画しています。
 最後に、今年は、「スーパーサイエンスハイスクール」「創立100周年」「桐女との統合しての新高校」をキーワードとしています。内容的にも盛りだくさんですので、ぜひ学校の様々な取組に注目していただければと思います。本日はよろしくお願いします。



県高校総合体育大会 2017年05月08日(月)

県総体壮行会  県高校総体(陸上競技を除く)が5月12日から14日まで開催されます。
 県高校総体は関東大会予選を兼ねている大会です。インターハイより出場枠が多いので、関東大会への出場権の獲得を目標として日々練習を重ねているチームがたくさんあり、出場権をかけて激戦になります。
 また、この大会は、他の大会と異なり各競技の獲得した得点を合計し学校対抗で得点を競います。したがって、学校をあげて応援するとか、日ごろあまり知られていない競技でも活躍すれば、関心を持ってもらうことができます。県高校総体は簡単にいうとオリンピックや国体のような感じです。
 本校でも上位入賞しそうな部活動はあります。昨年優勝したバトミントン、アベック優勝した少林寺拳法、準優勝して関東大会でも活躍した軟式野球、全国選抜に出場した卓球部などが期待をもてそうな種目です。しかし激戦なのでやってみなければわかりません。
 これ以外の部活動でも、現在ベスト8や16ですが、それ以上の戦績を目指してがんばっているチームや生徒はたくさんあります。
 やはり、よい結果を出せるかどうかはモチベーションをどうもって行けるかにかかってくると思います。まずは自分のもっている力をいつでも最後まで十分に発揮することです。
 よく、自分より格上のチームと対戦するときには、対戦する前から「もうだめだ」とあきらめてしまったり、格下のチームと対戦するときには、「所詮俺たちの敵ではない」となめてしまったりすることがあります。
 格上のチームとやるときには、相手がなめてくれたならば、チャンスは大いにあります。
 もし相手がなめてくれずに誠心誠意戦ってきたら、こちらも誠心誠意応戦し、それで負けても仕方のないことなのです。
 ただ、もし相手がなめてきたときには勝機は出てきます。油断していたことにより、プレーがうまくいかずに失敗し、それであせってしまい、自滅してしまうということは高校生の県大会レベルではよくあることです。
 あせってくるとバレーボールやテニスなどではネットとコートが影響を与えます。自分(たち)が攻撃する時にはネットが妙に高く、妙にコートが狭く感じられたりするものです。反対に相手の攻撃の時には、ネットが低く、自分(たち)のコートが広く感じられるものです。サッカーではゴールの枠が妙に狭く感じられたり、バスケットでは妙にリングが高く、そして狭く感じられたりするでしょう。こうなると対戦相手との勝負ではなくなります。
 格下のチームとやるときには、早い段階で「やっぱり強いな」とあきらめてもらえるように手を抜かずにがんばることです。相手があきらめてくれれば試合は早く進むでしょう。
 いずれにしてもそれぞれの局面で手を抜かずに、誠心誠意試合が終わるまでがんばり続けることが大切です。
 持てる力を十分に発揮できることを期待しています。



高校教育は変わるはずです 2017年05月04日(木)

大学入学者選抜改革の全体像(イメージ)(http://www.mext.go.jp/ から引用)  学校教育が変わりつつあります。グローバル化、イノベーション(技術革新)、旧来のパラダイム(見方・考え方、枠組み)からの転換などにより、社会の変化が激しくなり10年先の世の中の様子が全く予測できないといわれています。また、新しい知識・情報・技術の更新がどんどん早くなり、高校で身に付けた知識や技能は、大学を卒業するころにはまったく役に立たなくなる社会になりつつあります。
 これまでの高校教育は、生徒が在籍している間に知識を伝達することが第一であり、教員は生徒に対して、生き抜くための力を高めるより、たくさんの知識を伝えることを中心とした授業を行っていました。生徒は、教員から伝えられた知識をたくさん再現できればその分だけ評価されました。
 ですから、その延長線上にあった今までの大学入試も、知識を大学入試の時にいかに正確に、そしてたくさん再現できるかによって合否が決められていたような気がします。ただ、最近の大学入試は、高大接続システム改革が推進されていることにより、その流れが変わりつつあります。
 現在、インターネットにより瞬時に、世界中の情報を手に入れることも、また最新の知識を調べることも可能になってきました。
 このような社会では、学校で知識・情報・技術をどんなに習得したとしても、それだけでは社会に出て通用しません。高校・大学を卒業したら、勉強はそれでおしまいというのではなく、常に新しいモノやコトを吸収するために学び続ける姿勢を持たなければなりません。そして併せて学び方も身に付けなければなりません。これから先の不透明な時代においては、生涯にわたって学び続けなければ生き抜くことはできません。
 ところで、このようなことが各方面からいわれている中ですが、まだ現時点では、「新テストは本当に実施できるのか」「大学入試はまだそれほど大きく変わらないだろう」と思っている高校教員はかなりいます。
 それぞれの高校が、今までどおり、生徒に対して知識の伝達だけに終始し、これからの社会を生き抜くための資質・能力(コンピテンシー)を育成する視点を持たないとすると大変なことになるような気がします。
 変化の予測が困難な社会を生き抜くためには、「どのような資質・能力」を育てる必要があるのか、それを育てるために「どのような内容」を学ぶ必要があるのか、また「どのような学び方」を身に付けさせておくべきなのかを、整理しておく必要があります。
 高校では、改革の趣旨はよくわからないが、大学入試(新テスト、AO・公募推薦入試、個別試験)が変わったときの対応のために、従来のやり方を工夫改善しなくてはいけないと思っている教員は増えてきたと思います。ただ、「新テストはまだ先の話で、将来本当にそれに変わるかどうかわからない。それを確認してから新テスト対策をしても遅くないのでは・・」と考えている教員もかなりの数いると思います。



探究するための基礎 2017年05月02日(火)

探究的な学習における生徒の学習の姿(http://www.mext.go.jp/ から引用)  本校の新しいスーパーサイエンスハイスクールとしての取組の中でメインになっているものが探究的な学習です。現在その探究を行うために基盤となる技法について学んでもらっています。
 そもそも探究的な学習は、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の4つの過程に分かれています。ですから、それぞれの過程において、どんな技法を使うかということを、基礎知識として知っている方が探究活動を進める上では効果的です。そのため、1年と2年の生徒全員が「探究基礎T」として以下の項目について学び始めました。
1 課題設定力:(1)聞く力(2)課題発見力(3)読解力
2 課題解決力:(4)情報収集力(5)情報整理力(6)データ分析力
3 発表:(7)執筆力(8)プレゼンテーション能力
4 協働:(9)グループ学習(10)ディスカッション
 この「探究基礎T」の生徒用のテキストは、本校の教員が半年以上かけて研究し独自に作成したものです。基礎知識を「知っている」だけでなく、少しでも「使える」レベルにまで高めるにはどうしたらよいかを考えた結果、講義だけでなく演習を多く取り入れ、そのやり方を経験してもらおうという意図で作成しています。実際には、これだけの内容を50〜100分の授業で使えるレベルまでにもっていくことは不可能であり、「何となく概要をつかんだ気になれた」レベルかもしれません。
 知識を使えるレベルにするためには、数多く経験していくことが大切です。ましてそれを能力にするためには、よほど試行錯誤を重ねなければ不可能なことです。ですから理想的にはこの技法を「探究基礎」の時間以外の、授業、学校行事、部活動で、たくさん経験できるとよいのですが・・
 例えば、自転車が乗れるようになるまでを考えてみると、乗れるためのポイントをいくら言葉で説明しても自転車に乗れるようにはなりません。やはり実際に自転車に乗って経験し、何度も失敗しているうちに自分自身でこつをつかみ乗れるようになるものだと思います。ですから、いくら頭で理解しても経験していないとそれを使えるようにはならないわけです。
 「探究基礎」で学ぶ技法は、大学や社会に出ても「なぜ」「どうして」の疑問が起こったときに、課題設定したり検証したりするときに、使うものであり、汎用的な能力、あるいはジェネリックスキルの一部であると考えられます。
 まあ、高校時代にそんなこともやったな程度であっても、大学に入学して、文系であればゼミ、理系であれば研究室への配属になり、必要に迫られて本格的に学び始めたときに、そういえばこれは、高校のときに習ったなと思い出せればそれでもよいと思います。



求められる教育の質の変化 2017年04月25日(火)

社会経済の変化に伴い重要性の高まる事項(http://www.mext.go.jp/ から引用)  かつての日本は、知識をできるだけ多く詰め込んで、よい学校に入学し、そこを卒業してよい会社に入社し、まじめにこつこつと定年まで勤め上げる。というのが一般的なキャリアでした。しかしそれはもう昔話になりつつあります。
 人工知能(AI)やロボットにより、20年後の日本においては、今ある職業の半分は無くなってしまうといわれ、さらにグローバル化の加速度的な進展も手伝って、大きな社会変動が起こると予測されています。そのため、これからの時代は転職することも視野に入れた社会になるともいわれています。
 今もそうなりつつありますが、一つの職種で専門性を積み上げ、そのことだけで社会で成功していくことが難しくなるでしょう。
 18世紀、産業革命により工業化した社会においては、製品を大量生産するために多くの人々が同じような仕事をしていました。効率的に行うためには、社員全員が一定の共通した知識を持ちながら、一律の行動をすることが求められました。また、この時代においては、工業化社会にふさわしい様々な社会システムを構築していくことが求められました。
 教育においても同様であり、リーダーの指示をフォロワー(リーダーを補佐する人)は黙って黙々と忠実に行うことが重要であり、そのような人が評価されました。
 ですから、明治以来日本の学校教育の傾向は、みんなが同じことをやる、一方向の講義型の授業を黙って受ける、一日中他者と話すことなしに忍耐強く座っている、指示されたことを逆らうことなく正確に実行することでした。ルーチンワークが速く正確にでき、集団行動ができると評価されました。
 21世紀になり、技術革新により高度に情報化した社会になりました。
 新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」の時代が到来しました。今がまさに「知識基盤社会」といえます。この時代、インターネットなどにより知識は簡単に得られるようになりました。知識はもはや基盤であり、それ以上に、思考力、判断力、表現力、行動力などにより、知識をどのように活用するかが重要となってきました。
 安倍首相は、オリンピックを直前に控えて、日本が世界をリードするための戦略として、第4次産業革命を提唱し、そのコア技術であるIot、AI、ロボットやビックデータなどの技術革新をスピードとインパクトを持って推し進めようとしています。
 これからの技術革新や社会の変化が人間の予測を超えて加速度的に進展する時代では、全員がリーダーとして自覚を持ちながら主体的に行動することや多様な人々と協働しながら働くことが重視されます。
 知識はもちろんですが、それだけでなく非認知的な能力(社会的スキル:コミュニケーションと協働)の重要性についてもいわれるようになりました。
 社会から求められる教育の質が変わってきたことを自覚しながら、学校全体で継続的に取り組んでいかないと将来の社会で生き抜く力は育たないような気がします。



今の中3から 2017年04月22日(土)

(朝日新聞4月14日1面から引用)  4月14日付の朝日新聞には、大学入試センター試験に変わって2020年度から導入される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(以下「新テスト」)について設計していることが記事として取り上げられていました。
 英語については、英検のような民間試験を事前に2回受けさせ、「聞く・読む・書く・話す」の4技能を評価するとか、国語については、80〜120字程度で答える記述式問題を数問出題し、その採点を大学入試センターが民間業者に委託するとか、でした。
 新テストについては機会の平等やコストの問題など課題もまだあるようです。高校側としては、できれば新テストの対応は大変なので実施してほしくないというのが本音でしょう。しかしながら、新テストは実施に向けて着実に進んでいるようです。
 2020年度というと、まだ先のように思いますが、今の中学3年生、つまり本年度の高校入試の受検生が大学受験のときには、従来の大学入試センター試験ではなく新テストになるわけです。
 そして、現在の高校1年生は浪人してしまうと、新テストを受検する可能性もあります。おそらく、浪人しないように、とにかく現役で大学に入学することを最優先に考える傾向になるでしょう。そのため2019年度の大学入試は大激戦になることが予想されますので、実は学校としても切実な問題なのです。
 新テストでは、知識の習得はもちろんですが、知識を活用しながらの思考力・判断力・表現力が身に付いているかどうかを問うような問題が出題されるようです。
 最近の国立大学の個別試験の問題には新テストを意識して先取りしているようなものが多くなってきました。この傾向は今後さらに増加するでしょう。
 2020年度は新テスト以外にも、小学校では新学習指導要領による授業が開始されますので、ここからが小中高大の一貫性を持った教育がスタートするわけです。
 大学入試に関しては、当然、新テストだけでなく、各大学、特に国立大学が実施する個別試験においても資質・能力の三つの柱について問うような問題が出題されるはずです。
 2014年12月の中央教育審議会からの「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」という答申がこの一連の改革のスタートであり、これを受けて文部科学省がロードマップを作成し、大学教育、高校教育、その接続部分である大学入試改革について、それに基づいてそれぞれが改革を進めています。
 意外と思うかもしれませんが、大学の改革は進んでいます。すでに、各大学はアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)の策定を法令上義務付けられましたし、主体的に改革に取り組む大学についてはインセンティブとして財政的な措置を受けることができます(国立大学は入試改革をしないと財政的な支援を受けられなくなる仕組みになっている)。
 2020年度に向けて、高校がどのようにこれから準備していくか、それによりその学校の実態が変わってくると思います。



本校のスーパーサイエンスハイスクールの概要について 2017年04月16日(日)

群馬県立桐生高校SSH概要  本校は文部科学省から、みたび、スーパーサイエンスハイスクール(以下「SSH」)指定校として採択されました。3期連続で指定されている高校は全国でも数校しかありません。
 今回のSSHの募集形態は、開発型<研究仮説を一から設定し新規性のあるカリキュラム等の研究開発を行う。今回13校指定>、実践型<過去にも指定を受けている学校がこれまでのカリキュラム開発を基礎としてより実践的な研究開発を行う。今回64校指定> がありました。本校は、通常ならば実践型かもしれませんが、あえて研究仮説を一から設定し新たなプログラムを構築して、開発型に応募しました。
 今までは、主に理数科の生徒を対象に、先端的な科学技術に触れて学習意欲を高めること、群馬大学理工学部の支援の下に探究的な学習を中心としたSSHでした。
 今回のSSHは地元群馬大学理工学部などにも支援いただきながら探究的な学習を行いますが、対象を理数科だけでなく、普通科の生徒も含めて行うことにしました。また探究的な学習の前に、その基礎となる見方・考え方や技術を学ばせることを考えています。
 なお、理数科の生徒には、探究的な学習以外に先端的な科学技術を学ぶための独自プログラムも計画しています。
 研究課題は「これからのよりよい社会を創り出す主体性・協働性を身に付けた科学技術人材の育成」としました。「これからのよりよい社会を創り出す」ではピンとこないかもしれません。しかし、「よりよい社会を創り出すこと」と「幸福な人生を送れるようにすること」は「なぜ教育を受けるのか」という問いの究極的な答えではないかと思います。
 このプログラムでは、本校の同窓会、桐生の市役所や教育委員会、商工会議所、群馬大学理工学部、地域産業などと連携を図りながら、桐生という地域を学び、地域への興味関心、あるいは課題から探究的な学習をスタートさせようと考えています。本校のように文武両道を推進しようとしている学校は、学校生活は充実していますが、ともすると学校と家庭の往復だけになってしまい、地域に眼を向けない傾向にあります。学ぶ過程の中で、学ぶ意味を自分の人生や社会のあり方と結びつけて考えることは大切だと思います。
 今回、「これからのよりよい社会を創り出す」人材に必要な資質・能力を「主体性」「協働性」「問題解決能力」「創造性」の4つと考えました。そして、これらの資質や能力を身に付けるための学び方として、探究的な学習が最適ではないかと考えました。
 仮説として、グループで探究的な学習のプロセスを何度か繰り返すことで、主体性・協働性を身に付けることができ、粘り強く課題に挑戦する力や解決する力を育成できると考えています。
 本校の探究的な学習では、桐生について学んだり考えたりしたことのうち、気になることや深めたいことを課題として設定し、その解決のために必要な情報を収集し、集めた情報を分析・評価をして、それを相手にうまく伝えられるようにまとめます。そして、このまとめたものを外部から評価してもらうことで、次の段階での課題の設定につなげていきます。このプロセスを何度か繰り返す中で、「主体性」「協働性」「問題解決能力」「創造性」ができると考えています。



東京大学学部入学式総長式辞 2017年04月15日(土)

東京大学入学式(http://www.u-tokyo.ac.jp/ から引用)  4月12日に行われた「平成29年度東京大学学部入学式」における五神真総長式辞をWebページで観ました。以下は全体の式辞の中の40%くらいの部分ですが、これからの日本にとって必要な人材になるためにはどのようなことが必要なのかが分かりやすく述べられています。
 『「知のプロフェッショナル」となるために、まず三つの基礎力を養ってほしいと思います。第一は「自ら原理に立ち戻って考える力」、第二は、あきらめず「忍耐強く考え続ける力」、そして第三に、「自ら新しい発想を生み出す力」です。これらをベースとして、社会に貢献するためには、様々な人々を巻き込んで実際に行動しなければなりません。そのためには、「多様性を尊重する精神」と、自分の立ち位置を見据える「自らを相対化できる広い視野」が必要です。そうした基礎力と精神と視野を身につけ、人々の間に「知に支えられた真の共感」を生みだす担い手となってほしいのです。
 さて、これから始まる大学での生活において、これらの力を獲得するために、どんなことから始めたらよいでしょうか。皆さんにこれからの駒場の生活の中で実践してほしいことを、少し具体的に提案したいと思います。
 私達は、大学での学びの準備として、知識の量ではなく、基本となる知識を柔軟な発想によって使いこなす力を、皆さんには鍛えておいてほしい、と考えています。入学試験ではそこを重視して出題しています。皆さんはその要求にしっかり応え、めでたく入学されたのです。
 しかし、これはいわば準備体操です。これから始まる学びは、これまでの勉強とは異なります。あらかじめ答えが用意された問いに対して、その答えを言い当てるという受け身の学習だけでは足りません。もっと自由で主体的な学びに変わらなければなりません。まず早い段階で、この大学での勉強の流儀を身につけ、そしてそれを楽しんでほしいのです。
 このような能動的な学びへのギアチェンジをサポートするための仕掛けも用意しています。その一つが、「初年次ゼミナール」という少人数の演習です。様々な分野の第一線で活躍する東京大学の先生方が、それぞれ工夫をこらし、大学で学ぶための基本姿勢を皆さんに直接伝えます。演習の課題には、クイズ番組のようなはっきりとした答えはないかもしれません。答えを導くために、根拠のある事実を積みあげ、厳密にまた論理的に思考を進める必要があります。どのような情報を調べるか、得た情報をどう解釈するのか、そしていくつもの情報をどのようにまとめ上げ、どう活かすのか。その取り組み方を学ぶなかで、第一の基礎力「自ら原理に立ち戻って考える力」と、第二の基礎力「忍耐強く考え続ける力」を鍛えるとはどういうことか実感し、身につけてください。
 専門課程に進むにつれて、第三の基礎力「自ら新しい発想を生み出す力」を意識してもらいたいと思います。最後の卒業研究や卒業論文は、その力を鍛えるよい機会になるでしょう。学問において何より大事なのは、自ら問いを立て、そしてその問いを自分で解いていくことです。問いを立てるには新たな疑問が必要であり、解くためには事実に基づいて分析の論理を積み上げる姿勢が重要になってきます。
 最終的な私たちの願いは、そのような経験を積んだ上で、皆さんが「まだ答えがない問い」を自らが作れるようになってもらうことです。「まだ答えがない問い」とはもちろん、デタラメな問いという意味ではありません。「問い」を立てるということは、自分が何を知っているのかを自分で見つめなおす、極めて知的でタフな作業なのです。そこでは、大胆かつ謙虚という、相反するような気持ちを持つことが求められます。
 なぜそのような問いを立てる力が大切か。それは大きく変わりつつある現代の世界で生き抜くためには、まさに簡単には答えを見つけられない、まだ答えが用意されていない問題に挑戦し続けなければならないからです。現代の社会には、手に負えない難題であっても放り出すわけにはいかないもの、解決まで粘り強く取り組まなければならないことが数多くあります。答えだとされているものをあえて疑い、事実の探り方を変え、確かめ方を模索しながら、何とか前に進んでいかねばなりません。「まだ答えのない問い」と向かい合うこと、それこそがまさに学問の営みであって、これもまた大学生として知ってもらいたいことなのです。大学という場はそうしたトレーニングをする最良の場所です。
 このようにお話しすると道のりは遠そうですが、第一歩を踏み出しさえすれば、決して難しいことではありません。最後に、その第一歩となる秘訣をお教えしておきたいと思います。
 それは、教室で発言することです。質問は大いに結構。先生方は、皆さんが口を開くのを待っています。はじめはうまく発言できず尻込みしてしまうかもしれません。しかし上手にできるまでは人前でやらないというならば、いつまでも上手にはなれません。
 大学の教室は、知のコミュニケーションの場です。その場に参加する醍醐味を味わってください。多様性が許され、個性が歓迎されるということを知ってください。そこが高校までとは決定的に違うところかもしれません。自分と異なった意見を知って、ハッとする体験がとても重要です。いわゆる「空気」が変わるこうした瞬間を体験することを通じて、「多様性を尊重する精神」を育んでください。この多様性こそが新たな知を生みだす原動力、すなわち東京大学の卓越性を支えているのです。
 そして、この精神こそが、知に支えられた真の共感の基礎なのです。
 大きな教室で発言することは、なかなか勇気のいることです。まずは少人数クラスで挑戦してみてください。少人数クラスとしては、初年次ゼミナール以外にも、理系学生にはALESS、文系学生にはALESAという英語学習の授業も用意されています。
 他者を思いやり、互いを認め合いながらも、異なった意見が言えるためには、自由な場が必要です。東京大学は、キャンパスにおいて、少数派かもしれないと思う人々が堂々と発言し、行動できる、そのために必要な環境を進んで提供していきます。そしてすべての学生の皆さんが「東京大学で学んでよかった」と心から思ってもらえるように努力します。』  『平成29年度東京大学学部入学式 総長式辞』のページから引用)


開校記念日 2017年04月11日(火)

開校記念日  本校は1917(大正6)年に桐生町立桐生中学校として設立され、4月1日に開校しました。
 1年2年それぞれ50名ずつ募集し、第1回の入学試験が4月6日・7日に行われ、1年50名、2年28名(太田中より13名編入、桐生尋常高等小学校高等科11名)が合格しました。第1回入学式を4月11日に行いましたが、この日を開校記念日としています。
 本校は、開設するにあたり、桐生の町の人たちの教育に対する熱い思いがあったおかげで、無事に開校することができたという経緯があります。
 群馬では、まず1877年に第17番中学利根川学校(現在の前橋高校)ができました。その後群馬県尋常中学校となり、その分校が1897年に県内6地区(高崎(群馬分校)、富岡(甘楽)、藤岡(多野)、安中(碓氷)、沼田(利根)、太田(新田))に開設されました。
 この時できた中学校を前身とする高校は今年で創立120年になります。
 桐生中学校はこれらの分校の中に入っていませんでした。桐生は奈良時代より絹織物の産地として知られ、昔より「西の西陣、東の桐生」といわれ、桐生織は京都の西陣織と並び称された織物でした。
 したがって、桐生には中学校ではなく群馬大学理工学部の前身である桐生高等染織学校のルーツでもある町立桐生織物学校が設立されました。
 ですから、桐生では、中学校で学びたいものは、近隣の太田や佐野、前橋の中学校に通わざるを得ない状況にあり、下宿生活を余儀なくされていました。
 これを憂えた桐生の千名を超える町の人たちから、当時の額で3万5千4百円余りの多額の寄付金が寄せられました。それにより本校は大正6年に全国2番目となる町立の旧制中学校を創立することができました。
 学校創立当初から、本校では卒業生の多くが上級学校へ進学していました。このために昔から「伝統ある進学校」といわれていました。
 大正10年3月1日には、本校は県に移管されて、町立桐生中学校から群馬県立桐生中学校と改称され、県内で8番目の県立中学校となりました。このときにも多くの町の人たちから多大なる支援や協力があったと聞いています。
 学制改革により昭和23年に群馬県立桐生高等学校と改称されました。
 昭和39年に不幸にも火災にみまわれて本校舎の大半を焼失しましたが、翌年には新校舎が着工されました。その校舎は現在まで受け継がれています。
 平成10年に理数科が新設されました。男子のみの普通高校でしたが、男女共同参画社会の実現という国全体の流れの中で、男女共学の専門学科が加わりました。当初は反対の声もありましたが、女子生徒の頑張りもあって今年で20年目を迎えることができました。
 平成19年に理数科の生徒を対象として文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けました。群馬大学理工学部の支援などを受け5年間取り組みました。さらにその成果と実施計画が認められて、再度平成24年度から平成28年度までの5年間研究指定校になることができました。そして今回、創立100年を記念する年に、桐生について学ぶことも含めた研究内容が認められ、みたび、文部科学省から指定を受けることができました。
 このように、時代が変わろうと、本校を見守ってくれる桐生の人たちの温かい支援を受けながら地域を代表とする学校として今日まで歩んできましたが、そのことは忘れてはいけないと思います。
 群馬県では生徒数が減少する時期を迎え、今後、多くの学校で学級減を行うようになるかと思います。特に桐生・みどり地区においては生徒数が急減する時期が間近に迫っているため、本校と桐生女子高校、桐生南高校と桐生西高校をそれぞれ統合して、新高校を造る準備をしています。
 今年、節目となる100年を迎えていますが、どうか桐生の町の人たちの温かい支援、あるいは先輩たちが営々と築き上げてきた本校の伝統の重みをしっかり受け止め、改めて桐高生としての誇りと自信を奮い起こし、自己の資質・能力の向上とともに、母校桐高と新高校のますますの発展のために力を尽くしてくれることを期待しています。



入学式式辞 2017年04月10日(月)

校長式辞  紫色に輝く桐生の山並みにも、渡良瀬川の流れにも、春の訪れを感じる今日のよき日を迎え、平成29年度の入学式を執りなく行うことができますことを、心より感謝申し上げます。
 この晴れの式典に、ご多忙中にもかかわらず、PTA会長様、同窓会長様をはじめ、多数のご来賓と保護者の皆様のご臨席を賜り、厚くお礼申し上げます。
 ただいま入学を許可された新入生の皆さん、100年の伝統を誇る桐高への入学おめでとう。そしてこれまでずっと新入生を支えてきました保護者の皆様、お子様のご入学を祝し、心よりお慶び申し上げます。
 桐高は、難関入試を突破した281名の皆さんの入学を心から歓迎いたします。
 本校は、大正6年に町立桐生中学校として設立されてから、今年でちょうど100年目を迎えました。今年の11月に開校記念式典を行う予定ですが、今年がまさに節目の年になります。
 さて、皆さんを待ち受けているこれから先の社会においては、グローバル化が今以上に進み、人口減少だけでなく生産年齢人口も減少し、それに加えて人工知能、コンピュータやロボットなどが高度化し、そのことにより今とまったく異なった社会構造、雇用形態になるといわれています。
 本校では、そのような社会になったときにも、活躍できる資質・能力を、高校時代から意識的に身に付けておくことの必要性を感じています。
 大学に入学した後に必要になったり、社会に出てから活躍するために基礎となったりする資質・能力として、まずは「十分な知識」、そして、得た知識を活用しながら、答えが一つに定まらない問題に対して、自ら答えを導きだしていくために必要な「思考力・判断力・表現力」、更にはこれらを身に付けるために必要な「主体性を持って多様な人々と協力し合いながら学んでいこうとする態度」があげられます。
 ところで、本校の代名詞にもなりましたスーパーサイエンスハイスクール(以下「SSH」)については、昨年度末で2期10年間の研究開発が終了しました。しかし、新たな事業の取組内容で文部科学省に申請したところ採択され、みたび、SSHとして、本年度から五年間、研究開発を行うことになりました。
 今回の本校のSSHは、探究的な学習を、理数科の生徒だけではなく、普通科の生徒にも拡大し、全校を上げて、まったく新しいプログラムを行う予定です。なお、理数科の生徒についてはそれ以外にも先端的な科学技術に関する学習を行います。
 本校は欲張りな学校なので、生徒は、授業はもちろん、SSH、学校行事、部活動、など充実した教育活動を毎日行っています。
 なぜそのような教育活動を行うかというと、「知識」、「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう態度」「人間性」などの資質・能力は、イベント的に、無計画に行っても身に付けることができないからです。多方面にわたって、系統的に、継続的に、そして目的を持って行うことで、それらの資質・能力ははぐくむことができると考えています。
 先ほど「主体性を持って、多様な人々と協力し合いながら、学んでいこうとする態度」を身に付けてほしい資質・能力としてあげました。
 同質の集団で交流を深めても、なかなか新しいものは創りだせません。多様な考え方を持つ人々が交わってこそ、化学変化が起こり、その中でお互いの良さを理解し、協力しあうことができれば、新たな価値を見出すことができます。
 本校のように自宅が、県内広範囲にわたっていると、同じ中学出身者がクラスの中にあまりいない状態になります。ですから、入学直後は、まさに多様な経歴や生育暦を持つ生徒の異質の集団になります。その時期に交流を深め、ひとつの目標に向かって力を合わせていけるチャンスがつくれれば思わぬ展開になるような気がします。
 終わりに、今日から皆さんは桐高の1年生です。これから始まる学校生活は初めて経験することも多いはずです。授業についても中学時代に比べれば進度も早いし、内容も高度で広範囲になります。中学時代には予習や復習することなしに授業を受けても理解できた皆さんもいるかもしれませんが、高校では絶対に不可能です。
 はじめて取り組むことは、うまくいかないことが多く、失敗する確率は高いものです。勉強でも部活動でも、そして学校行事においても、失敗を恐れずに、躊躇することなく最初の一歩を踏み出してください。
 281名の新入生の皆さんの健康と桐高での限りない成長を祈念するとともに、ご臨席賜りましたご来賓の皆様、保護者の皆様に心よりお礼申し上げ、式辞といたします。



第1学期始業式式辞 2017年04月10日(月)

校長式辞  今日からいよいよ新年度が始まります。皆さんは春休みをどのように過ごしていましたか。昨年度の卒業生が、卒業した日から今日までの約1か月間で、2年、3年としての心構えができたのではないかと思います。
 今年度は、本校の前身であった町立桐生中学校が開校してからちょうど100年に当たります。大正6年4月1日に開校、1年2年それぞれ50名ずつ募集し、第1回の入学試験が4月6日・7日に行われ、1年50名、2年28名が合格し、4月11日に入学式を行ったそうです。これが本校のスタートとなりました。
 このような節目の年に、皆さんは運良く在校生でいました。高校を卒業して、同窓会などを行うとよく高校時代の話が出ます。創立100年の年度に在学したに皆さんの想いは、それ以外の年度に桐高に在籍した先輩たちとはおそらく違うものになるはずです。卒業して10年、20年後、「その年度は○○についてはがんばった。」○○に入るものが、勉強でも、部活動でも、山紫祭でも、スーパーサイエンスハイスクール(以下「SSH」)の取組でも、かまいませんが、振り返った時にいえるような学校生活を送るように心がけてください。
 ところで、本校はSSHとして、文部科学省から3期目に指定された話はしました。
 今回の研究開発の課題名は「これからのよりよい社会を創り出す主体性・協働性を身に付けた科学技術人材の育成」としました。
 それを受けて、本年度の学校目標は「これからのよりよい社会を創り出す主体性・協働性を身に付けた人材の育成」としました。
 「これからのよりよい社会を創り出す」とはずいぶん大きく出たものだと思うかもしれませんが、なぜ皆さんが教育を受けるかというと、究極的には「幸福な人生を送れるようにするため」「よりよい社会を創り出すため」の2点になるはずです。
 今回のSSHの研究課題は、「これからのよりよい社会を創り出す」人材を育成することです。そのためには、このような人材であるための資質・能力はどんなものかを考え、いくつかある資質・能力のうちどのようなものが特に必要なのかを考え、その結果「主体性」「協働性」「問題解決能力」「創造性」の4つにしました。
 では、その4つの資質・能力をどのような方法で育てるかと考えたときに、探究的な学習を行うこと有効ではないかと仮説を立てました。これが今回のSSHのテーマです。
 今までのように先端科学技術に学ぶとか群馬大学との高大連携とかも、もちろん含まれていますが、それは探究学習を行う時の一つのカテゴリーにすぎません。
 ですから今回は、ただ探究的な学習を行うのではなく、探究的な学習を行う前に学び方のスキルをしっかり身に付けてもらいます。それから探究的な学習を行うとどうなるだろうかとか、また探究的な学習を行うことで、資質・能力がどのように変化するのだろうか、それについての評価測定や分析などは何を使ったらよいのか、また効果はどうなのかなどについての研究を行う予定です。
 通常の授業においても、主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)の視点を持った授業を行うことで、資質・能力がどのように変化するだろうか、SSHの探究的な学習にどのような影響を与えるだろうか、それらについて評価し分析することも大きな課題となっています。
 今回は、理数科の生徒だけではなく、普通科の生徒にも拡大し、全校を上げて、新しいプログラムを行いますが、意図としては「主体性」「協働性」「問題解決能力」「創造性」を身に付けることにあります。
 授業はもちろん、学校行事、部活動、などの教育活動を行うことで、「主体性」「協働性」「問題解決能力」「創造性」の4つがどのように変わるか、あるいは変わらないのかを検証してみることも大きな研究課題となっています。
 本校のSSHの申請書の取組内容は高い評価を受けています。なぜなら、これからの数年後の日本の高校で行われる新しい教育方法を先取りした、先進的取組だからです。おそらくフロントランナー的な取組なので、実施する際には試行錯誤の連続にはなると思います。
 新年度を迎えるに当たり、新しいSSHの取組が、今年度の本校の学校運営の基盤になっていることの概略を話しました。
 創立100年の年、健康に留意しながら所期の目標の達成に向けてがんばってください。